電車を乗り継いで、いつもの最寄り駅に着く。
電車に乗る前も、乗った後も、弟は手を離してはくれなかった。
電車内に雄英の生徒がいなかったからまだ良かったけど。
居たら高校生活終わるわ。
子供かよ。
離そうにも、弟の握力はゴリラ並み。
渋々繋いだままにするしかないんだよね。
でも、こんなところ誰かに見られたら...、
やっば。
もう、諦めよ。
ニヤニヤとしているみんなだけど、誤解だからな。
私たちはみんなが思ってるような仲良しカップルじゃなくて、双子なんですからね!
そう言うと、弟はようやく手を離してくれる。
無言のままの私の頭を、弟はぽんぽんと撫でる。
みんなが見ている前でなにしてくれてんだ、あんたは。
弟が去っていったのを見て、私は盛大なため息をつく。
これ、双子だってこと知らなかったらやばかったよね。
元々みんなは恋バナ好きだし、問いつめられまくってるよきっと。
弟の件は、まあ大丈夫でしょ。
それより今は、思いっきり楽しまなきゃ!
学校のプールを使っていい許可も、ヤオモモちゃんがもらってくれたし。
夏休みなのに、あんまり外出できないっていうのは残念だけどね。
今はプールを楽しも!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。