私のすぐ横を歩いていた常闇くんが、軽くくしゃみをする。
上鳴くんがそう言うと、ヤオモモちゃんが少し恥ずかしそうに言った。
それを聞いて、文化祭の時を思い出す。
確かに、ヤオヨロズコールすごかったものね。
"ホークス"
その名前を聞いて、私は思わずお茶を飲むのをやめる。
隣に座っている弟が、不思議そうにこちらを見つめて口を開く。
はやすぎる男、ホークス。
過去に一度だけ、彼と話したことがある。
少しおちゃらけていたというか、なんというか...。
とにかくなんかすごい人だった。
このことは、誰にも話してないんだけどね。
もちろん、弟にも。
と、寮のドアが開く音が聞こえた。
それと同時に、飯田くんが私たちの方を振り返って口を開く。
そのひと言が終わると同時に、聞き覚えのある声が聞こえてくる。
"ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ"
4人が声を揃えて言うのを見て、私たちはわっ、と駆け寄った。
みんながそれぞれの会話を繰り広げていく中、一部はにくきゅうまんじゅうを貰って騒いだり、過去の出来事について話したりと、さまざまだ。
林間合宿の時を思い出す。
楽しくなるはずだったのに、ヴィラン連合によって最悪なことに変わってしまった合宿。
あの悲劇はもう、繰り返さないようにしなきゃ。
だから、私たちはもっと強くなるんだ。
攫われたりしないように、もうあんな悲劇を起こさないために。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!