そう言うと、常闇くんは障子くんと緑谷くんにも言った。
常闇くんは俯き、悔しそうにしながら言葉を紡ぐ。
たぶん常闇くんは、障子くんに対しての申し訳なさでいっぱいになっているのだろう。
だけど障子くんは、きっと怒ってなんかいない。
それに今の状況、こんなことをしている場合ではない。
話は後だ。
障子くんの言葉に、常闇くんははっ、としたように顔を上げた。
そして障子くん、緑谷くんを見て、力強く頷いた。
私の言葉に、緑谷くんが頷く。
それはどうかわかんないけど、まあ置いておこう。
それよりも私たちは、爆豪くんを施設に送り届けることを最優先にしなければならない。
絶対ヴィランになんか、渡さないんだから。
だけど爆豪くんは、そんな私たちが気に食わないみたい。
プライド高いからなあ。
機嫌悪いなあ。
そこでふと思い立って、私は緑谷くんの方に駆け寄った。
そう言うと、緑谷くんは驚いたように目を丸くした。
私は首を振った。
そう言ってにっこり笑えば、緑谷くんは少し頬を赤く染めて頷いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。