ぐっ、と拳を握る爆豪くん。
きっと悔しいんだ。
戦闘許可を得ているのに、自分になにもできないことが。
そりゃそうだよね。
私だって、同じ気持ちだから。
話がまとまった、その直後。
それを聞いて、私は思わず自分の耳を疑った。
かっちゃん、って...。
爆豪くんのことだよね?
それを聞きながら、爆豪くんは走り出した。
その時、ヴィランが爆豪くんに向かって攻撃をしてくる。
それを見た弟が、慌てて氷結で防いだ。
弟の言葉に、爆豪くんはさらに苛立ちを募らせる。
なにに対して気に食わないのかはわからない。
だけど、守ってもらうことが嫌なように見えた。
爆豪くん、プライド高いからなあ。
ヴィランが地形を上手く使いながら個性を使ってくるため、弟の氷結での攻撃が中々当たらない。
今にも爆破しそうな爆豪くんを見て、弟が言った。
周りは有毒ガス、目の前にはヴィラン。
逃げ道はない。
今はただ、このヴィランと戦うことしか選択肢がないようだった。
弟がそう言って、私を庇うようにして前に出る。
私...。
弟に守ってもらってばかりだ。
なにもできない、できていない。
むしろ、足でまといになってる。
弟の声で、我に返る。
ヴィランからの攻撃を、慌てて避ける。
逃げることしか、私にはできないの?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。