第331話

No.330
9,535
2021/01/10 15:07
上鳴電気
かっちゃんがっつくなよ〜







上鳴くんがそう言うと、爆豪くんは右手を上鳴くんの方へ向けて、威嚇するように軽く爆破させた。





煽るからだよ、もう。







緑谷出久
轟くん、いいの?あれ
轟焦凍
...よくねぇ







弟と緑谷くんの会話が聞こえるが、それどころじゃない。







爆豪勝己
...
あなた
...







無言でポッキーを食べ進める爆豪くんに対し、私は少し食べたところで止まったまま。





いや、近いんだって。





そろそろポッキー折った方がいいよね...。







あなた
!?







ポッキーを折ろうとすると、爆豪くんが私の肩を掴んできた。





え、なに、どうするの?





プチパニックになっている私などお構い無しに、爆豪くんはポッキーを食べ進めていく。





そしてとうとう、あとひと口でキスする、という段階まできてしまった。





え、これやばいよね?







あなた
...







ルビーのように紅い瞳と目が合う。





一瞬その瞳に見惚れてしまい、吸い込まれそうになる。





弟もそうだけど、爆豪くんも綺麗な目してるんだよね。





暴言さえなければ普通にかっこいいと思うんだけどなぁ。







爆豪勝己
...
あなた







そんなことを呑気に考えていると、爆豪くんはすっ、と目を細めた。





と思った次の瞬間、ゆっくりと唇を開き、そのまま私に近づいてくる。





あ、やばい。





これ、キスされるパターンだ。





今思えば、顔を背けたりといろいろな方法はあったと思う。





だけどその時の私は、パニックで動かないままだったんだ。





爆豪くんの唇が私の唇に触れそうになった、その時だ。







あなた
んぐっ、!?
爆豪勝己







誰かに体を引っ張られた。





その衝動で爆豪くんは離れ、盛大に尻もちをつく。





一方、私は誰かに口元を押さえられ、抱きしめられていた。





こんなことをするのは、ひとりしかいない。







爆豪勝己
っにすんだ轟!!
轟焦凍
...







私を抱きしめているのは、やっぱり弟だ。





爆豪くんは尻もちをついた状態で、弟を睨む。







轟焦凍
...悪ぃ、爆豪
爆豪勝己
ほんとに思ってんのかよてめぇはよぉ!!?
緑谷出久
ダメだってかっちゃん!また謹慎くらうよ!







弟に掴みかかろうとする爆豪くんを、緑谷くんが必死になって止める。





あの、言っちゃ悪いんだけど。





まず私を助けてほしいんだが...。

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