やっとの思いで寮に帰ると、共有スペースで男子たちがくつろいでいるところだった。
もう寝たのかな。
でも寝る時間にしては早すぎるんだよね。
上鳴くんがそう言って、こちらに歩いてくる。
が、私たちを見た瞬間、ぎょっ、としたような表情になった。
その声を聞いて、周りにいたみんなも集まってくる。
注目浴びたいわけじゃないんだけど。
崩れ落ちる上鳴くんを見て、思わず苦笑する。
てか、私の顔よりもツートップの方がいいでしょーが。
みんな元気だね...。
私もお風呂入らなきゃ。
自室に戻って荷物を置き、着替えを持ってお風呂場へと向かう。
お風呂場には誰もいなくて、私ひとりだった。
おー貸し切り状態だ、結構贅沢。
さっ、とシャワーを浴びて体と髪を洗い、湯船に浸かる。
ちょっと温いのは我慢しよう。
てか女子組、どこいっちゃったんだろ。
共有スペースにいないってことは、誰かの部屋にいるってことだよね。
いるとしたらヤオモモちゃんの部屋か、響香ちゃんの部屋か。
私の中では、その二択だ。
ふぅー、っと息を吐き出すと、体の疲れが一気に取れていくような感覚になる。
あんまり浸かりすぎていても逆上せるだけだし、そろそろ上がろうかな。
そう思い、私はいつもよりも早めにお風呂から上がった。
早く部屋に戻ってレイに餌あげなくちゃ。
あと明日の学校の準備も忘れないうちにしておこう。
弟の傷の手当てはその後だ。
これからすることをいろいろ考えながら、私は共有スペースへと向かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。