第284話

No.284
10,653
2020/12/25 15:03
轟焦凍
そろそろ昼だけど、昼飯どうする?








布団に入ってしばらくして、弟がそう切りだす。





え、もうそんな時間なんだ。





目だけでちらりと時計を見てみると、確かにお昼だった。







轟焦凍
体調悪ぃなら、そんなに飯食えねぇだろ。今あるものでなんかないかな...








むくりと布団から起き上がり、弟はコンビニの袋の中を漁り出す。





私はその姿を、ぼんやりと見つめていた。





私のお昼ご飯はどうにかなったとしても、弟のご飯はどうするんだ...。





料理できないから、なんかしてあげないと。







轟焦凍
...あなた?








のそりと起き上がった私を見て、弟は不思議そうな表情をする。





私はそのまま立ち上がり、一旦部屋を出ようとする。





が、熱のせいか、バランスを崩して倒れかけた。







轟焦凍
危ねぇっ!








弟が慌てて抱きとめてくれたおかげで、なんとか倒れることは免れた。





頭がふわふわする。





宙に浮いているみたいな感覚だ。







轟焦凍
なにやってんだっ!倒れて頭でも打ったらどうすんだ!
あなた
...ごめん








思わず肩を竦めた私を見て、弟は眉を下げる。





そのまま私を横向きに抱えあげると、布団まで連れていって降ろした。







轟焦凍
なんで急に立ち上がったんだ
あなた
だってあんたのお昼...ないじゃん。
轟焦凍
そんなのいいって。自分でやるから








どの口が言うんだか。







あなた
あんた料理なんてまともにできないのに、自分でお昼ご飯用意できるの?
轟焦凍
蕎麦茹でるくらいはできるぞ








栄養偏るでしょーが。





蕎麦以外にも、野菜だってとらなきゃいけないのに。







あなた
それ以外は
轟焦凍
...カップラーメンとか?








なんで疑問形なんだよ。





やっぱりこいつ、料理とかダメだね。





料理させたら大惨事だよ、寮が壊れる。







轟焦凍
...まあ俺は別に食わなくてもいい。あなたが元気になってくれれば、それでいい
あなた
...







私は返す言葉が見つからず、黙り込む。





そんな私には気づかず、弟は再びコンビニ袋を漁る。







轟焦凍
お、これとかどうだ?食えそうか?








そう言って差し出してきたのは、カットされたフルーツ。





まあ確かに、これだけなら食べれると思うけど。







あなた
うん。だけど焦凍も
轟焦凍
あなた
一緒に食べよ








そう言って微笑むと、弟は少し驚いた表情をする。







轟焦凍
ん、一緒に食べるか








けれどすぐにそう言って、微笑み返してくれた。

プリ小説オーディオドラマ