第172話

No.172
16,661
2020/11/23 01:56
胸元を叩けば、弟は気がついたのか、私から唇を離す。







轟焦凍
今、何回だ...?
あなた
知、るわけ...ないでしょ








酸欠気味な私は、言葉を返すのに精一杯。





それに比べ、弟は全然平気そうにしている。





...ムカつくなこいつ。







轟焦凍
じゃ、まだやらねえとな
あなた
ちょ、待ってってば!
轟焦凍
待たねえ、無理だ








再び強引にキスされる。





酸欠気味で苦しいっつうのに、なんて野郎だ。





また息が続かなくなり、苦しくなって酸素を求めようとしたのが間違いだった。







あなた
っ、!!








唇を開ければ、ぬるりとした感触が口内に侵入する。





苦しい、おかしくなる...。





やめてくれと言いたいのだけど、その前に酸素がほしい。







あなた
んぅ、っ!や、め








聞こえてんなら辞めろやこの野郎。





弟は自身の舌を器用に動かし、私の舌と絡めてくる。





個性事故とはいえ、姉弟でこんなこと、しちゃだめなのに。







あなた
ね、ぇ...やめっ、しょう、とっ
轟焦凍
...








逃げようとすると、弟は私の後頭部に手を回し、逃げられないように固定する。





こ、こいつ...。





人が辞めれ言っとんのに。







あなた
んー!!!








先程と同様に、弟の胸元を思い切り叩く。







轟焦凍
...は、っ
あなた
はぁ、っ








唇を離せば、お互いの口元には銀の糸。





かあっ、と頬が熱くなった。





と、弟が私の唇をひと舐め。





思わず声が漏れた。







轟焦凍
悪ぃ...やりすぎた
あなた
ほんっとに、あんたは...!








息を整えながら、私は口元を乱暴に拭う。







轟焦凍
でもその顔、可愛いな
あなた
!!?
轟焦凍
もっと見てえ
あなた
な、っ!








耳元で甘く囁かれ、再び顔中に熱が集まる。







轟焦凍
この個性、ある意味すげぇよな
あなた
な、っにが
轟焦凍
お前とキスできるし。...一生このままでもいいかも、なんてな
あなた
絶対だめ。やだ








一生このままだったら、私が死んでしまう。





今でもかなりきついというのに。







轟焦凍
だめだ。キス魔の気持ち、ってよくわかんねぇけど、こんな感じなんだな。すぐにキスしたくなっちまう
あなた
は、え...。ちょ、なにしてんの
轟焦凍
押し倒してるだけだ
あなた
辞めてくれない?
轟焦凍
無理だ








弟のファンの方。





私と代わってください。





誰かいませんかね。

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