第542話

No.538
6,403
2021/06/29 07:35
轟焦凍
は...?
あなた
あ...







教室に戻る途中、偶然にも弟とバッタリ会ってしまった。





弟は私の姿を見ると、持っていた教科書やノートをすべて床に落とす。





なんだよその古典的な驚き方は。







轟焦凍
あなた...だよな?
あなた
う、うん
轟焦凍
その格好、どうしたんだ...?
あなた
あー...







やっぱりそこだよね。





私は頬をかいてから、弟に向き直って説明する。







あなた
今日の救助訓練、この服装でやってほしい、って、相澤先生に言われてさ。なんか、こんなの着せられた
轟焦凍
先生に...?
あなた
うん...。やっぱり、変だよね、これ







そう言いながらフードに付いている猫耳を弄ると、急に弟が私を抱きしめてきた。





いやなにしてんだよ、早くノートとか拾いなよ。





てかこんなとこで抱きしめてこないで。







轟焦凍
そんなことねえ。めちゃくちゃ可愛い
あなた
っ、ちょ
轟焦凍
すげぇ似合ってる、誰にも見せたくねえくらいだ
あなた
!と、とりあえずノートとか拾いなよ







素直で率直な言葉に思わず照れてしまい、私は顔をそらす。





そんな私に気づいたのか、弟は体を離すと、私を見て口元を緩めた。







轟焦凍
その表情、可愛いな。もっと見てぇ
あなた
見ないでよ...しょーとのバカ
轟焦凍
その表情も可愛いぞ
あなた
っ、もう...!







その甘々な瞳で見つめてくるのやめてくれます?





なんか、いたたまれない...。







轟焦凍
好きだ
あなた
知ってるよ
轟焦凍
...あなたは言ってくれねぇのか?
あなた
...私も、好きだよ







少し沈黙したあとにそう言えば、弟は満足そうに微笑んだ。





相変わらず心臓に悪い微笑みだ...いい意味で。







轟焦凍
教室行くか
あなた
うん
轟焦凍
拾うの手伝ってくれるか?
あなた
はいはい







仕方ないな、ほんとに。





そう思いながら、私は落ちているノートなどを拾ってやった。









***









緑谷出久
と、轟さん!?どうしたのその格好!!?
芦戸三奈
猫だー!







教室に戻った瞬間、みんなが私を見てそんなことを言いながら、こちらに集まってきた。





デジャヴ...。







上鳴電気
姫なんでこんな格好してんの?
あなた
相澤先生に着せられた
峰田実
先生がぁ!?







私のひと言を聞いて、みんながざわつく。





まあ、先生がこんな格好させると思わないものね。





だって、着せられた本人である私もびっくりだもん。





...って、これ理由になってないよね。

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