第351話

No.349
8,755
2021/01/24 02:18
夜嵐イナサ
轟!轟さん!また次の講習でな!







夜嵐くんがそう言って、元気に走って去っていく。





私は軽く手を振って答え、弟も同じような行動をとる。





仮免講習が終わってから、私たちは会場を出てバス停に向かっている最中だ。





すっごい疲れた...。







轟焦凍
あなた、大丈夫か?
あなた
まあ、うん







明日もこれ続くのか。





耐えられるかな、私。







爆豪勝己
はっ、ダセェな







鼻で笑う爆豪くんを、私は軽く睨めつける。







あなた
爆豪くんだって疲れた表情してるじゃん
爆豪勝己
んな表情してねーよ。まだまだ動けるわ、舐めんな







ふん。





体力お化けにはわかるはずないもん。





私はふいっ、とそっぽを向き、バス停へと足を進める。







轟焦凍
あなた、あとで一緒に課題やろう







課題...。





そういえばそんなのあったね。







あなた
いいよ。どこでやる?
轟焦凍
あなたの部屋がいい
あなた
わかったよ







承諾すれば、弟は嬉しそうに目を輝かせる。





...だんだんこいつが犬に見えてきたよ。





ほら、しっぽ振ってるよしっぽを...。





幻覚まで見えるようになりかけてる。





こんなんで疲れてたらダメだダメだ。





その幻覚を取り払うように、私はふるふると首を振って頬を叩いた。





弟が驚いたように振り返る。







轟焦凍
いきなりどうした?頬なんて叩いて
あなた
いや、なんでもない
轟焦凍
眠いんだったら俺が叩いてやろうか?それかバスの中で俺の肩使うか?
あなた
どっちも遠慮しとく







弟に頬叩かれたら、間違いなく歯が何本か逝くことは確実。





肩借りて寝てたら、間違いなくあとで爆豪くんに変なこと言われる。





結果、デメリットしかないのだ。







爆豪勝己
ちんたら歩いてんじゃねえぞ
あなた
今行くから







早く寮に帰りたい。





今頃みんな何してるかなぁ。







轟焦凍
おんぶするか?
あなた
しない







そんなことしたら目立っちゃうじゃんか。





意地でも歩いてやる。





弟は心配そうな表情で何度もこちらを振り返るが、私は大丈夫の一点張り。





こんなところでグダグダになってたら、これからの仮免講習やっていけないもの。





私はもっと頑張らなくちゃいけないんだから。

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