第85話

No.85
18,370
2020/09/23 09:33
しばらく歩いていると、甲高い悲鳴のような声が聞こえた。





私は思わず立ち止まった。





みんなは聞こえていなかったようで、そのまま歩き続ける。





が、弟がそんな私に気がつき、振り向いて言った。







轟焦凍
あなた、どうした?
あなた
今、なんか聞こえなかった?
轟焦凍
?なんも聞こえねえけど、なんかあったのか?








不思議そうにしている弟に答えずに、私は走り出した。







轟焦凍
あなた!?
あなた
私、ちょっと見てくる!








弟や緑谷くんが止めに入るが、私は構わず走り出す。





少し走っていった先に見えたのは、







あなた
お茶子ちゃん!梅雨ちゃん!








木に吊るされている梅雨ちゃんと、誰かに馬乗りしているお茶子ちゃんの姿だった。





お茶子ちゃんの下には、一人の女の子がいる。





だけどその女の子は馬乗りされているにも関わらず、お茶子ちゃんの足になにかを刺している。







あなた
お茶子ちゃんから離れて!!








思わず女の子に向かって個性を発動させる。





その瞬間、女の子はお茶子ちゃんを突き飛ばし、私の攻撃を避けた。







あなた
お茶子ちゃん!
麗日お茶子
あなたちゃん、なんでここに?
あなた
声が聞こえたから、急いで走ってきてみたの。そしたら二人がいたから








突き飛ばされたお茶子ちゃんに駆け寄り、私は手を差し伸べる。





と、







蛙吹梅雨
あなたちゃん避けて!!
あなた
え?








梅雨ちゃんの声に、私は後ろを振り向いた。





次の瞬間、







あなた
ぐ、っ!








左腕に激痛が走った。





見れば、先程の女の子が、私の左腕に注射器の太いバージョンのような物を刺していた。







敵(ヴィラン)
あなたちゃん、っていうんだ〜。かぁいいね〜!
あなた
は、離してっ








なに、これ。





血を吸われてる?





てか、痛い...!







麗日お茶子
あなたちゃん!!








やばい、そんなに血を抜き取ったら...!





一瞬、視界がぐらつく。





力が抜けた瞬間、地面に倒されて馬乗りにされる。





やばいやばい。







敵(ヴィラン)
血ぃいっぱい出てるねぇ、あなたちゃん
あなた
っ、








なに、この人。





血を見て喜んでるの?





いったいなにがしたいんだ。





てか、この人もヴィランだよね?







蛙吹梅雨
あなたちゃんから離れて!








梅雨ちゃんとお茶子ちゃんが駆け寄ってきた、その時だ。







轟焦凍
あなた!!








弟の声が聞こえた。

プリ小説オーディオドラマ