結局押し切られてしまい、一緒に寝る羽目になる。
てか布団ひとつしかないのわかってるでしょーが。
文句言うなら自分の部屋行けよ。
子供かよ。
わがまま多すぎだよぼけ。
あんたただでさえ力強いんだから、抱きしめられるとめちゃくちゃ苦しくなるんだよ。
せめて力の加減をしろや。
いや寝させてくれよ。
思わずあくびをすると、弟は私をじっ、と見つめる。
じっ、と見つめてくる弟に尋ねようとすると、後頭部に頭を回されて抱き寄せられた。
ぼふっ、と弟の胸板に顔が当たったかと思えば、少しだけ周りが温かくなる。
横向きになったまま見上げると、弟は私を見下ろしたままふわりと笑った。
いや、逆に寝られないというか...。
確かに温かいんだけどさ。
なんでだ。
絶対寝にくいじゃん。
そう言うと、弟は嬉しそうに笑う。
てか、温かいと眠くなる...。
ふわあ、と再度あくびをすると、弟はクスクスと笑いだした。
またそんな恥ずかしいことを堂々と...。
さらっ、と言うのやめてよね。
周りの人にチャラ男だと思われるよ、うん。
他の子にも言ってるとしたらダメだわこいつ。
早く止めなきゃ。
そう言うと、弟はきょとんとして瞬きを繰り返した。
真剣な表情で言う弟に対し、私はぽかんとする。
やっぱりダメだわ、この無自覚天然。
早くなんとかしないと。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。