私の部屋の次。
最後はヤオモモちゃん。
どんなのだろ、楽しみ。
ヤオモモちゃんの部屋の中を覗くと、部屋の大半が豪華なベッドで占められていた。
でっか。
こんなに大きいベッド、初めて見たよ。
さすがはお嬢様。
でも、いったいどんだけ広い部屋なんだろ。
何畳くらいかな。
1回見てみたいよ、ヤオモモちゃんの部屋。
そう言いながら笑いかけると、緑谷くんは頬を赤く染めて顔をそらす。
はて?
どうしたんかな。
どうしたのかと緑谷くんに声をかけようとすると、弟が一瞬、私を抱き寄せる。
なんだよ辞めてくれよ。
今は誰も見てなかったからよかったけど、見られたらどうするんだよ。
ハテナマークを浮かべている私を見て、弟は顔をそらす。
時々、こいつのする行動の意味がわかんなくなるんだけど。
尋ねてもさっきみたいに、なんでもないで済まされちゃうし。
なんなんだ、いったい。
やがて、全員の投票が終わり、三奈ちゃんが順番に開票していく。
え、私は誰に入れたかって?
決まってるじゃん。
第1回、ってことは、2回目もあるってことなのかな。
勘弁してくれ。
名を挙げられた本人、砂藤くんは驚いたのか、自分を指さして声を上げる。
まあ、そうだよね。
確かに美味しかったし。
部屋のセンスだったら、男子だったら個人的には瀬呂くんか口田くんかな。
女子だったらお茶子ちゃんだな。
一番生活しやすそうだったからね。
まあ、私は結局砂藤くんの部屋に投票したのだけれど。
当の本人は驚いている様子だけど、どこか嬉しそうにしている。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!