第612話

No.607
6,063
2021/08/08 16:05
???
てきとうな事言うなや!!







思わずびくりと肩を跳ねらせる。







???
どこ見て喋りよっとやテレビ!あれ見ろや!
モブキャラ
やめとけやこんな時に!







そう声を上げているのは、小さな少年。





その声を聞きながら、ぼんやりとしたままテレビに目をやる。







???
まだ炎が上がっとるやろうが!見えとるやろうが!!エンデヴァー生きて戦っとるやろうが!!







偶然だろうが、それに応えるように、テレビの中で父が炎を上げる。







???
おらん象徴の尾っぽ引いて勝手に絶望すんなや!
モブキャラ
ガチすぎやろやめろや!はよ逃げよって







少年を抑えようとするもうひとりの子の言葉を聞いて、少年がエンデヴァーのファンなのだろうと察する。





少年は父を指さして、大声で言った。







???
今、俺らの為に体張っとる男は誰や!!見ろや!!
あなた







思わず目を見開いた。





それと同時に、テレビが空からの映像に切り替わる。





改人脳無を、父が懸命に追っている姿が映し出される。







あなた
!ホークス...







ふとテレビに映った人物を見て、思わず声を漏らす。





ホークスも、父と応戦している。





頑張っている。





No.1と、No.2が。







モブキャラ(女)
エンデヴァーが、戦っています...!







お父さん...っ。





血を流し、ぼろぼろになりながら必死で脳無と戦い続ける、ヒーローとしての父の姿。







"今、俺らの為に体張っとる男は誰や!!見ろや!!"







先程少年の言葉が、脳内に流れてくる。





私も弟も、同様に拳を握る。





身体が熱くなり、自然と炎が噴き出る。







轟焦凍
親父...っ、見てるぞ
あなた
お父さん...っ







"見てるよ/見てるぞ"







私たちは、同時に叫んだ。





それから、食い入るようにテレビ画面を見つめる。





どうか、どうかお願い、勝って。





もうこれ以上、なにも失いたくないの...。





ちゃんと見てる、見てるから。





神様、どうか...。





私はテレビを見ながら拳を握り、必死で祈り続ける。





現場にはいないから、テレビの前で祈ることしか今の私にはできない。





でも、それでも。





私も弟もちゃんと、あなたのことを見てるから。





昨日のヒーロービルボードチャートでも言われた通り、見てるから。





だからお願い、No.1ヒーロー。





どうか、勝って。

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