昼食を食べたあと、私たちは普通にショッピングをしていた。
私がやりたいこと、それは...、
弟に服を着せること。
女子同士で来たらもっといいんだろうけど、弟にもちょっとはお洒落してほしい。
あ、別に服を選ぶセンスがないとか、そんなんじゃないよ?
姉の私が言うのもなんだけど、弟は結構お洒落な方だと思う。
でも、最近服のサイズが合わなくなってきてるし、ぼろぼろになってるものも多い。
だから、買い物ついでに着せてるってわけ。
ぽやっ、とした表情で、弟は私の手元にある服を見つめる。
うん、いつも通りだね。
そう言って私は、ある服を見せる。
その服を見た瞬間、弟は無言になった。
そりゃそうだよね。
だって、私が見せたこの服は、
猫耳が着いたパーカーだもの。
そりゃ着たくないはずだよ。
でも、
着たところを見てみたいという、好奇心が勝った。
だって見たくない?
弟の猫耳パーカー来てるとこ。
お、やけにあっさりだね。
弟は猫耳パーカーを手に取ると、試着室に入っていった。
しばらくして、
今は姉を捨てようか。
正直に言おう、めちゃくちゃ可愛い。
姉の私が言うのもなんだけど、とにかく可愛い。
弟は少し不満そうにしているが、私にとっては満足だ。
こっそり写真なんかも撮っておく。
これ、良い脅し道具になるよ。
てか、これめっちゃ良いね、買おうかな。
とりあえず、猫耳パーカーを買うことは決定。
あとは普通にTシャツとズボンだね。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!