第650話

No.643 side轟焦凍
5,415
2021/11/20 14:34
轟焦凍
お前は速いよ。俺が遅いだけだ







そう言いながら、自分の左手を見つめる。







轟焦凍
俺が遅いから、心配かけさせちまった。安心させられるようなヒーローになんなきゃな...







それから、もうひとつ。







轟焦凍
もっと強くならねえと、大切な人も守れねえしな







自分に言い聞かせるようにそう言って、ベッドで寝ている姉に目を向ける。







飯田天哉
いや!君が頼りない等は決して...痛!俺はいつでも誰の元へでも駆けつけるんだ。インゲニウムを継ぐ者の信念だ







飯田がそう言った瞬間、姉のベッドを挟んだひとつ奥のカーテンが開けられ、骨抜が顔を覗かせる。







骨抜柔造
炎の件とか、レシプロとか、正直俺も課題残ったままなんで、また相手してくれない?
飯田天哉
もちろん
轟焦凍
もちろん







骨抜の言葉に、俺も飯田も頷いた。





俺自身にも、課題はいくつもある。





それを乗り越えていくためには、強くなるしかない。







リカバリーガール
あんたら元気になったんなら早く戻りんさい!ダベる場所じゃないんだよ!







リカバリーガールの言葉を聞いて、飯田と骨抜が保健室から出ていこうとする。





が、







轟焦凍
あの、リカバリーガール。あなたの治癒は終わったんですか?
リカバリーガール
これからだよ。あんたはいいから早く戻りんさい
轟焦凍
あなたが起きるまで、ここに居てもいいですか







俺はそう言って、リカバリーガールを見つめた。





少しでも、姉と一緒にいたい。





それに、二人で話したいことがたくさんあるんだ。





だから。





懇願するように見つめていると、リカバリーガールは軽くため息をついた。







リカバリーガール
あんたはほんとに姉が大好きだね
轟焦凍
大好きです
リカバリーガール
...しょうがないね。わかったよ







リカバリーガールはもう一度ため息をつくと、そう言って姉がいるベッドへと歩いていく。





それからくるりとこちらを振り向き、口を開いた。







リカバリーガール
ここにいるのはいいけど、騒がしくして治癒の邪魔はしないこと。約束だよ
轟焦凍
わかってます。大丈夫です







そう言った俺を一度見たあと、リカバリーガールは再び姉の方へと身体を向ける。





それから、個性を使って姉の治癒を始めた。





今頃第4試合を始めているところだろうか。





確か...爆豪のとこだったな。





そんなことをぼーっ、と考えているうちに、姉の治癒が完了する。





そして治癒が終わって数秒後に、姉はゆっくりと目を開けた。

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