いや、さすがにそれは否定できないと思うよ。
弟は不満そうな表情で私を見上げる。
弟は渋々といったように、小さな声で呟いた。
そう言って笑いかける。
と、緑谷くんがポンッ、と火がついたように赤くなった。
どうしたんだろ。
なにが違うのやら。
ジト目で見つめる弟に対し、緑谷くんは大慌てで両手を振った。
そう言って、私は結っていた髪をほどく。
ふぁさっ、とかすかな音がして、肩の下まである髪がほどけ落ちる。
そう言った私を見て、何人かが「おお〜」と声を上げた。
ありがたいんだけどさ、ちょっと恥ずかしい。
弟が服の袖を掴み、私を見つめる。
ただただ首をかしげていると、弟が突然、私を横向きに抱え上げた。
三奈ちゃん着目するとこそこじゃないってば。
てかミニスカートなんだからやめてよ、めくれちゃうでしょーが。
抱え上げられたままの状態で周りを見ると、全員が瀬呂くんや上鳴くんと同じ反応をしていた。
なんでだ...。
なんでだよ。
ちらりと目を向ければ、みんなは穏やかな表情でこちらを見つめている。
差恥から一気に真っ赤になった私を見て、弟はクスリと笑う。
誰かなんとかしてくれよ、この状況。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。