動きやすい服に着替え、私と弟は訓練場に向かう。
とりあえず、私は自分の限界が知りたい。
自分がどれだけいけるのか。
強くなるためには、まずはこれを知ることが大事だと思うんだ。
訓練場に入って扉を閉め、弟の方に向き直る。
弟と組手なんて、ぼろぼろになるのが目に見えてるんだけど。
中々承諾しない私を見て、弟は少し悲しそうな表情をする。
恐る恐るといったように問いかけてくる弟に、私は少し躊躇う。
はあ、まったくこいつは。
私は軽くため息をついて、頭をガシガシとかく。
ぱあっ、と顔を輝かせる。
いつもは表情死んでるくせに、いざ表情に出るとめちゃくちゃわかりやすいんだよね、こいつ。
なにその理屈。
ま、これが弟か。
弟に遠慮は不要。
私は言われた通り、自分から攻撃をしかける。
炎を弟に向かって発射すれば、弟も左を使ってきた。
そう言って私は、炎の威力を強める。
弟は飛び退いて、右の氷結で攻撃してきた。
雄英に合格するために、今までで一番といっていい程の努力をしたんだもの。
死ぬかと思ったけど。
いつの間にか後ろに回っていた弟に、私は驚いて振り向く。
慌てて飛び退こうとするが、弟の方が行動が早かった。
一気に氷結で攻撃をしてきたため、私の体はあっという間に氷に包まれる。
思わず苦笑いした私を見て、弟も苦笑する。
私は自分の個性を使い、氷を溶かす。
少し動いただけなのに、思っていたより体力を消耗していたみたい。
息切れがすごい。
弟が手を差し伸べてくれ、私はその手を借りる。
手を借りて立ち上がろうとするが、足に力が入らなくて立てない。
そう言うと、弟は私を抱き上げる。
いつもなら抵抗するところだけど、今の私にそんな余裕はない。
そんなことより喉乾いた。
訓練場の隅っこまで歩いていき、弟は私を床に下ろして座らせる。
私を床に下ろしたあと、弟は私の横に腰を下ろした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。