第54話

No.54
21,750
2020/09/13 11:10
動きやすい服に着替え、私と弟は訓練場に向かう。







あなた
特訓するのはいいんだけど、具体的になにをするの?
轟焦凍
俺は右と左を、同時に使えるように特訓する。あなたは?
あなた
うーん、私は特にないかな








とりあえず、私は自分の限界が知りたい。





自分がどれだけいけるのか。





強くなるためには、まずはこれを知ることが大事だと思うんだ。







轟焦凍
なら、ちょっと相手してくんねえか
あなた
どゆこと?
轟焦凍
組手だ、手加減なしできてくれ
あなた
え、やだ
轟焦凍
...








訓練場に入って扉を閉め、弟の方に向き直る。





弟と組手なんて、ぼろぼろになるのが目に見えてるんだけど。







あなた
私と組手なんてやっても、意味ないよ
轟焦凍
ある。意味があるから言ってんだろ
あなた
でも、








中々承諾しない私を見て、弟は少し悲しそうな表情をする。







轟焦凍
嫌、か?








恐る恐るといったように問いかけてくる弟に、私は少し躊躇う。





はあ、まったくこいつは。





私は軽くため息をついて、頭をガシガシとかく。







あなた
わかったよ
轟焦凍
!ほんとか








ぱあっ、と顔を輝かせる。





いつもは表情死んでるくせに、いざ表情に出るとめちゃくちゃわかりやすいんだよね、こいつ。







轟焦凍
怪我しねぇように、手加減はする
あなた
それだったら、あんたの特訓の意味ないんじゃないの?
轟焦凍
俺がいい、って言ってんだからいいんだ








なにその理屈。





ま、これが弟か。







あなた
じゃ、早速始めよっか
轟焦凍
おう。あなたからこい
あなた
んじゃ、遠慮なく








弟に遠慮は不要。





私は言われた通り、自分から攻撃をしかける。





炎を弟に向かって発射すれば、弟も左を使ってきた。







あなた
言っちゃ悪いけど、炎だったら私の方が上だよ








そう言って私は、炎の威力を強める。





弟は飛び退いて、右の氷結で攻撃してきた。







轟焦凍
さすがだな
あなた
そこまでじゃないよ。だけど、軽い気持ちで今まで鍛えてきたわけじゃないからね








雄英に合格するために、今までで一番といっていい程の努力をしたんだもの。





死ぬかと思ったけど。







轟焦凍
けど、俺だって負けるつもりはねえぞ
あなた








いつの間にか後ろに回っていた弟に、私は驚いて振り向く。







あなた
しま、っ!








慌てて飛び退こうとするが、弟の方が行動が早かった。





一気に氷結で攻撃をしてきたため、私の体はあっという間に氷に包まれる。







あなた
あーあ、私の負けだね
轟焦凍
だな、ちょっと休憩するか








思わず苦笑いした私を見て、弟も苦笑する。





私は自分の個性を使い、氷を溶かす。







あなた
っはあ、はあ...
轟焦凍
大丈夫か?








少し動いただけなのに、思っていたより体力を消耗していたみたい。





息切れがすごい。





弟が手を差し伸べてくれ、私はその手を借りる。







轟焦凍
ちょっとやりすぎたか
あなた
いや、大丈夫。そんなことないよ








手を借りて立ち上がろうとするが、足に力が入らなくて立てない。







轟焦凍
歩けるか?
あなた
ちょっと、無理かも
轟焦凍
ならちょっと我慢しろよ








そう言うと、弟は私を抱き上げる。





いつもなら抵抗するところだけど、今の私にそんな余裕はない。





そんなことより喉乾いた。







あなた
ごめん、
轟焦凍
大丈夫だ、気にすんな








訓練場の隅っこまで歩いていき、弟は私を床に下ろして座らせる。





私を床に下ろしたあと、弟は私の横に腰を下ろした。

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