緑谷くんたちがインターンに出てから、2日後。
土曜日。
弟と私、爆豪くんの3人は、寮を出てバス停に向かっていた。
キメ顔で言う弟と、それに対して不機嫌そうな爆豪くん。
今日はまた仮免講習。
けれど、私は今日のニュースのことで頭がいっぱいになっていた。
弟がそう言って、私の顔を覗き込む。
今朝のニュースで、昨日のことが報道されていた。
その中でも、緑谷くんたちインターン組が関わっている重大な事件があったらしく、そのことで頭がいっぱいになっていたのだ。
大きな怪我してなきゃいいけど...。
というか、いつ帰ってくるんだろう。
報道されてる、ってことは、もう終わったことなんだもの。
それなのに帰ってきていないということは、やっぱりなにかあったのだろうか。
心配でたまらない。
でも、私は言ったんだ。
信じてる、って。
だったら私は、彼らが戻ってくるのを信じて待つしかない。
今私にできることは、それだけだ。
そんなことを考えている中で弟が口を開き、言葉を紡ぐ。
そう言って、弟は微笑む。
弟も、私と同じ考えを持っているんだ。
私はふっ、と笑い、頷いた。
と、先を歩いていた爆豪くんが振り向いた。
私と弟は駆け足で爆豪くんの元へと急ぐ。
バス停に着くと、ちょうどバスが到着した時だった。
あっぶな、結構ギリギリだったよ。
まぁたやってるよこの二人。
ぎゃあぎゃあと言い合っている二人を無視して、私は一番後ろの席に座る。
それから二人を見て、にっこり笑った。
圧が伝わったのか、二人はぴたりと言い合いをやめる。
それからトコトコとこちらに歩いてくると、いつも通り私の両隣に座った。
全くもう、こんなんで仮免取れるのかなぁ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。