第173話

No.173
15,767
2020/10/21 13:57
あなた
退いてくんない?
轟焦凍
やだ








弟に押し倒されて数分。





何度目かの言葉を紡ぐが、弟は頑なに退こうとしない。





それどころか手首を押さえられて、私が逃げられないようにしている。





なんでこうなったんだ...。







轟焦凍
まだ足りねぇ...








ぺろりと自分の唇を舐めて、弟は私を見下ろす。







轟焦凍
悪ぃ。個性のせいだとは思うが、どうしても抑えられねぇんだ
あなた
...それはあんたのせいじゃないからさ、仕方ないよね








私はそう言いながら、顔をそらそうとする。





が、弟が片手で私の顎を掴み、再び唇を重ねてきた。





今日と明日で100回以上やらなきゃいけないと考えると、恥ずかしすぎていたたまれなくなる。







轟焦凍
ん、
あなた
ん...ふぅ、








再び弟の舌が、私の口内に侵入する。





もう何回目だろ。





さすがに限界が近い。







轟焦凍
は...ん、っ
あなた
ふ、っ...や、んんっ








押し倒されたままのせいで、体の自由が効かない。





だから、ひたすら弟のキスに堪えるしかなかった。





抵抗しようにも、きっと怪力ゴリラには敵わない。





だからもう、今は諦めよう。





そう思って、私は弟の好きなようにさせることにする。







轟焦凍
はぁ、
あなた
はぁっ、はぁっ








酸欠状態のまま、弟を見上げる。





少しトロンとしたオッドアイと、目が合った。







轟焦凍
大丈夫か、?
あなた
っ、わからない
轟焦凍
なんだそれ
あなた
わかんないものはわかんないの








自分でもよくわからない、変な感情が湧き出てくる。





今弟の目を見ていると、その感情がどんどん膨れ上がってくる。







轟焦凍
続けても、大丈夫か?もう少しで一旦気が済むと思うから
あなた
っ...わかった








そう言った瞬間、また重なる。





もう少しだから、堪えなきゃ。





うっすらと目を開けてみれば、目を細めている弟の顔がドアップ。





無性に恥ずかしくなり、再び目をぎゅっ、と瞑った。







轟焦凍
っ、もういいぞ。少しは満足したから








少しは、ってなんだよ。





当たり前だけど、100回もしてないからね。





まだこれ続くのか...。







轟焦凍
何回したか覚えてるか?
あなた
覚えてるわけ、ないでしょ...。
轟焦凍
まあ、そうだよな








弟は私から離れると、腕を引っ張って私を起き上がらせる。





だけど体に力が入らず、私はそのまま弟の胸元に倒れ込んだ。

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