第165話

No.165
14,550
2020/10/18 07:23
午後に入り、訓練中。





私は約束通り、爆豪くんと一緒に訓練に取り組んでいた。







爆豪勝己
んで、お前はどんな必殺技を取得してぇんだ
あなた
うーん。どんな、って言われると難しいからわかんないけど、とにかく炎の火力を上げたいんだ








以前一度だけ出現した、白い炎。





それをコントロールできるようにしたい。







あなた
できる...?
爆豪勝己
んなもん余裕だわ。俺にできねぇことなんざねえ








お、頼もしい。







爆豪勝己
けどお前、前にキャパオーバーでぶっ倒れたろ








う...。







爆豪勝己
キャパオーバー寸前までやるとかいってたら、仮免の時に大変なことになるぞ








おっしゃる通りで...。







あなた
あのね、爆豪くん。私...
爆豪勝己
火力を上げるんだろ、わーっとるわ。白炎ぐらい、すぐに出せるようにしたる
あなた








このこと、誰にも話してなかったはずなのに。





驚いて爆豪くんを見つめると、彼も私を見つめていた。







爆豪勝己
舐めんじゃねえ、舐めプ女
あなた
わ、っ








そう軽く毒を吐いてから、わしゃわしゃと頭を撫でてきた。







爆豪勝己
ぼっさぼさになってんな
あなた
爆豪くんのせいでしょ








いたずらっ子のように笑う爆豪くん。





なんか新鮮。





爆豪くんが笑ってるとこなんて、なかなか見ないから。





思わずじっ、と見ていると、私の視線に気がついた爆豪くんが軽く睨んできた。





爆豪くん、黙ってれば結構イケメンだよね。







爆豪勝己
んだよ
あなた
いや、別に
爆豪勝己
さっさとやるぞ。まずは俺と勝負だ
あなた
え、








爆豪くんと勝負?





無理無理無理。







あなた
私弱いし、勝負にならないと思うんだけど
爆豪勝己
いいからこいや
あなた
えー








渋る私とは対象的に、爆豪くんはやる気満々。





やるしかないのか。







あなた
じゃあ、お手柔らかにね
爆豪勝己
それじゃあ訓練にならんだろが








爆豪くんの言葉に少し笑ってから、私は一気に彼との距離を詰める。





左手を爆豪くんの顔の前に翳し、炎を出した。







爆豪勝己








爆豪くんは慌てて後ろに飛び、炎を避ける。







爆豪勝己
てめ、お手柔らかにじゃねえよ!十分やれっだろーがよ!
あなた
そんなことないと思うけど








周りのコンクリートや岩を上手く使いながら。





私と爆豪くんは勝負を続ける。







爆豪勝己
お前、轟と同じだな!!
あなた
!!








爆豪くんが目の前まで接近する。





急なことに動けず、私は大きく目を見開いて固まった。





そんな隙を爆豪くんが見逃すはずなんてなく...。







爆豪勝己
俺の勝ちだな








爆豪くんはそう言って、にやりと笑った。







あなた
うん。わかったから離れて
爆豪勝己
へいへい








なぜか押し倒された形で勝負は幕を閉じた。





爆豪くんなりに傷つけないようにしたんだと思うけどさ。





押し倒さないでくれよ。





弟で懲り懲りなんだから。

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