午後に入り、訓練中。
私は約束通り、爆豪くんと一緒に訓練に取り組んでいた。
以前一度だけ出現した、白い炎。
それをコントロールできるようにしたい。
お、頼もしい。
う...。
おっしゃる通りで...。
このこと、誰にも話してなかったはずなのに。
驚いて爆豪くんを見つめると、彼も私を見つめていた。
そう軽く毒を吐いてから、わしゃわしゃと頭を撫でてきた。
いたずらっ子のように笑う爆豪くん。
なんか新鮮。
爆豪くんが笑ってるとこなんて、なかなか見ないから。
思わずじっ、と見ていると、私の視線に気がついた爆豪くんが軽く睨んできた。
爆豪くん、黙ってれば結構イケメンだよね。
爆豪くんと勝負?
無理無理無理。
渋る私とは対象的に、爆豪くんはやる気満々。
やるしかないのか。
爆豪くんの言葉に少し笑ってから、私は一気に彼との距離を詰める。
左手を爆豪くんの顔の前に翳し、炎を出した。
爆豪くんは慌てて後ろに飛び、炎を避ける。
周りのコンクリートや岩を上手く使いながら。
私と爆豪くんは勝負を続ける。
爆豪くんが目の前まで接近する。
急なことに動けず、私は大きく目を見開いて固まった。
そんな隙を爆豪くんが見逃すはずなんてなく...。
爆豪くんはそう言って、にやりと笑った。
なぜか押し倒された形で勝負は幕を閉じた。
爆豪くんなりに傷つけないようにしたんだと思うけどさ。
押し倒さないでくれよ。
弟で懲り懲りなんだから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!