無事に授業を終え、放課後。
荷物をまとめていると、弟がそう言って私の隣に立つ。
教室を出て、玄関に向かう。
寮に向かっている途中、弟が言った。
ふと隣を見ると、弟は空を見上げていた。
おめでたい色の髪が、風でなびいている。
肯定すれば、弟は嬉しそうに目を輝かせた。
単純なやつ。
***
寮に着いてから一旦別れ、部屋に戻って着替える。
今日は散々だったなぁ。
てか弟と爆豪くん、修羅場になりすぎじゃない?
あんまり問題起こしすぎると、いつか三者面談になりかねないよ。
弟の面談なんて、なにがなんでもお父さんが行くだろう。
え、ただでさえ弟のことになると過保護で面倒だから、
"なぜ俺に報告しない"
"お前に関係ねぇだろ"
"焦凍ォォォォ!!!"
って流れが安易に想像つくよやだやだウチが火の海になる...!!
こういうのは早急に手を打つが吉。
これ以上、あいつが問題起こさないといいんだけどなぁ。
もし弟が問題を起こしたら、「ドキドキ☆三者面談〜エンデパパ激おこ!ウチの最高傑作が何か?〜」が近日開催されるかもしれない。
なんとしてでもそれは避けたい。
そのためには弟に釘を刺す必要があるな。
でも問題はその方法をどうするかなんだよね、うーん。
なんて考えごとをしているうちに、弟が入ってくる。
弟は私を見ると、不思議そうに小首を傾げた。
うーん、これは今話した方がいいものか。
ま、いっか。
弟は微妙な表情をする。
なんだその表情は。
弟は納得いかないような表情をする。
ほんとにわかってるんだかどうか...。
まあ、問題起こさないならなんでもいいや。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!