第341話

No.339
9,136
2021/01/16 10:49
轟焦凍
なに読んでるんだ?
あなた
小説







学校が終わって寮に戻ってきてから、私は共有スペースでくつろいでいた。





自室から持ってきた本を読んでいると、弟が隣に座って覗き込んでくる。





近いんだけど。







轟焦凍
ふーん...。







弟は私の肩に頭を乗せ、つまらなさそうに本を覗き込んでいる。





なんだよ。







轟焦凍
俺には構ってくれねぇのか?
あなた
今は本読みたいの
轟焦凍
あなたは俺と本、どっちが大事なんだ








あんたはめんどくさい恋人か。





弟は私の肩にもたれたまま、そのままずるずると下がってきて、私の膝の上に頭を乗っけてくる。





ちょっと本読めないじゃん。







轟焦凍
構えよ、あなた
あなた
いや本読ませてよ
轟焦凍
やだ







本を取るな。







あなた
返して
轟焦凍
あなたが俺に構ってくれるんなら返す
あなた
わかったって。あとで構ってあげるから
轟焦凍
今がいい







こんの我儘野郎め。





私の膝の上に頭を乗せ、こちらを見上げてくる弟。





さて、どうやってどかそう。





私がそんなことを思っていることなど知らずに、弟は呑気に私の頬っぺを引っ張ったりして遊んでいる。







峰田実
おいこら轟ぃいいい!!オイラの前で姫とイチャついてんじゃねええええ!!







峰田くんの声で、私は我に返った。





すっかり忘れていた、ここが共有スペースだということを...。







常闇踏陰
膝枕か...







常闇くん、真顔でこっち見ないで。







上鳴電気
いいなぁ轟。姫に膝枕してもらえるとか羨ましすぎるんだけど
あなた
焦凍が勝手に乗ってきただけなんだけど







誤解を招くからとっとと起きてくれないかな。







麗日お茶子
相変わらず仲良いんやねぇ
飯田天哉
うむ、仲が良いのはいいことだな!







二人の言い分はともかく、なんで峰田くんは滝のような涙を流してんだよ。





常闇くんと障子くんは真顔で見つめてくるしさ。





穴があったら入りたいよ。







蛙吹梅雨
轟ちゃん。あなたちゃんの前だと甘えんぼさんになるのね
芦戸三奈
イケメンボーイが甘えてる...!これは貴重だよ!







貴重なのかどうかはわからないけど、弟がみんなの前でこうなってるのは初めてだものね。





そりゃ騒ぐわな。





クールな印象が一気に消え去ったもん。







轟焦凍
...あなたは、俺のだ







みんなに聞こえないように、弟はぽそりと小さく呟いた。





まあ私にはバッチリ聞こえてるんだけどね。





とりあえず早く退いてくれ。

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