お茶子ちゃんの言葉を聞いて、響香ちゃんは驚いたように声を上げる。
そう言った3人は順番に歌い出すが...正直、どれもイマイチだった。
私とお茶子ちゃんの言葉を便乗し、透ちゃんが響香ちゃんにそう言ってマイクを渡す。
でも響香ちゃん、ほんとに歌上手いんだよね。
いくら聞いてても飽きないと思ってる。
そんなプレッシャーかけないの。
響香ちゃんはマイクを両手で握りしめると、私たちの前に立って歌い出した。
うん、やっぱり綺麗な声だ。
どこか儚くて、落ち着いていて、聞いていて心地いい。
彼女が歌い終わると、全員が歓声を上げた。
これはもう決定だね。
飯田くんの言葉に、誰も反論はしない。
これでボーカルは決定だね。
と、
響香ちゃんがそんなことを言い出した。
みんながそれを聞いて、顔を見合わせる。
だって、響香ちゃんと一緒に歌えるくらいの人なんて、いない気がするんだもの。
だったら、さっき言ってた3人のうちの誰かになるのかな。
と思っていたら、隣にいた弟がぼそりと呟いた。
全員の視線がこちらを向くと同時に、私は声を上げる。
わいわいと騒ぎ始めるみんなを見て、私は焦り出す。
弟め、余計なことを...!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。