ゲームをやり終えてから、三奈ちゃんがそう言って紅茶を飲む。
私たちの会話を聞いていたのか、峰田くんが期待の眼差しを向けながら話に参加してくる。
三奈ちゃんがそれを聞いて、にこにこと笑いながら口を開く。
知らぬが仏だよ、峰田くん。
まあ、間違ってないだろうからなにも言わないけど。
と、
突然、背後から声が聞こえてきた。
振り向くと、弟が不思議そうな顔でこちらを見つめている。
三奈ちゃんはそう言うと、ちらりと私の方に目を向ける。
なんだなんだ。
弟の言葉を遮るようにして、私は口を開く。
そうすれば、弟は不満そうにぷくっ、と頬を膨らませた。
みんなの期待の眼差しがある意味恐いんだけど。
私はため息をついてから、身体の向きを弟の方に変えて口を開いた。
なによその顔は。
弟は驚いたようにぱちぱちと瞬きを繰り返していたかと思うと、ふっ、と口元を緩めた。
赤くなった顔を誤魔化すためにそっぽを向くと、女子たちがそう言いながら微笑ましそうに笑ってこちらを見てくる。
...もう、やっぱりこうなるんだから。
男子たちがそう言いながら、こちらに向かってくる。
それを見ていたみんなは立ち上がり、私たちに言った。
結局残ったのはヤオモモちゃんだけ。
ヤオモモちゃんも微笑ましそうに笑いながら、私と弟を見つめている。
私は彼女の言葉を聞いてから、食器を持っていくためにお盆を取りに行く。
調理場からお盆を取り、戻ってきたその時だった。
先程つけたばかりのテレビから、ある映像が流れてきたのは。
___がしゃん。
と、私は思わず持っていたお盆を落とし、立ち尽くす。
弟も同様に、無言でテレビを見つめたまま立ち尽くしている。
嘘...なんで、どうして...。
思わず身体から、少しだけ炎が噴き出した。
だってテレビに映っていたのは、脳無にやられている父の姿だったのだから。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。