第649話

No.642 side轟焦凍
6,139
2021/11/20 07:28
轟焦凍
!!







腹筋を使うようにして、勢いよく起き上がる。





頭をフル回転させて、今自分がどのような状況におかれているのかを考える。





と、







リカバリーガール
スニッカーズお食べ。尾白も食べて戻ったよ







隣からリカバリーガールの声が聞こえ、思い出した。





そうだ、授業でB組と対戦して、最後の最後であなたを庇って、それで...。







鉄哲徹鐵
轟弟!!







そこまで回想したところで、声をかけられて顔を上げる。





見れば、先程対戦した鉄哲が、ドアに手をかけてこちらを見つめていた。







鉄哲徹鐵
試合は引き分けだったが俺は負けたと思ってる!ヤベェ熱さだった!!また闘ろうぜ!!
リカバリーガール
うるさいよ







引き分け...。





ぼんやりと鉄哲の言葉を聞いていたところで、はっ、とする。







轟焦凍
あの、リカバリーガール。あなたは...あなたは、どこですか?







先程からなにか足りないと思っていたのだ。





姉の姿が見当たらない。





余程重症だったのだろうか。





そんなことを思わず考えてしまった、が。







リカバリーガール
あんたの姉なら大丈夫だよ。ほら







リカバリーガールがそう言いながら、シャッ、と隣のカーテンを開ける。





そこで見えたのは、ベッドの上で横たわる、姉の姿。





おそらく俺と同じように、あの後気を失ったのだろう。





思わず手を伸ばし、頬に触れる。





殴られて傷だらけになった頬を見て、ズキリと心が痛む。





ごめんな、俺がもっと早く動けていれば、お前に傷を作らないでやれたかもしれないのに。







飯田天哉
俺がもっと速ければ勝てた内容だった
轟焦凍
飯田







俺が寝ていたベッドの近くで座っている、飯田が口を開いた。







飯田天哉
俺はまだまだ遅い。骨抜くんの柔軟なスタイルに対応できなかった
轟焦凍
...助けてくれただろ。朧げに覚えてる







意識がトぶ寸前、姉が俺の名を呼んでいたことも、抱きしめられたことも、全部。





確かに覚えていた。







"もっと非情に火攻めで来られたら打つ手なかったのに"







戦闘開始早々に言われた、骨抜の言葉を思い出す。





まず氷結で先手を取るのが癖になっている。





...いや、体に染み付いている。





昔からずっと、そうしてきたから。

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