なんか言えや。
黙られると困るんだけど...。
似合わないよね。
そう言おうとした、その時だ。
男子たちがそう言って、私の周りに集まってきたのだ。
予想外の言葉に目をぱちくりさせていると、瀬呂くんが言った。
私は速攻で否定する。
やだよそんなセリフ。
ガラじゃないもの。
え、ちょ、なにその反応...。
なんか予想と全然違うんだけど。
峰田くんの言葉が、途中で途切れた。
理由はひとつ、真後ろに弟が立っていたからである。
しかも、すごい怒ってる雰囲気が...。
そう言うと弟は視線を合わせるようにして屈み、片手で峰田くんの頬を鷲掴む。
その手や腕には血管が浮かび上がっている。
殺気を隠さない弟を見て、緑谷くんが大慌てで止めに入っている。
うわぁ、これまずいやつだ。
怒筋マークを額にいくつも作る弟を宥めようとしているのか、緑谷くんが必死になって声をかけ続けている。
あれ、止めに入った方がいいかな。
ここ寮だし、個性使ったらまずいんだよね。
私は軽く息をついてから、弟たちの方に歩み寄る。
そして、
弟に声をかけた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。