第379話

No.377
9,085
2021/02/27 14:48
轟焦凍
わからない、って...
あなた
そのままの意味だよ
轟焦凍
そのままの意味...







弟は顔を歪め、私の肩を掴んだ。







轟焦凍
はっきり言ってくれよ!!嫌なら嫌、って!!
あなた
っ、焦凍、待ってって...!
轟焦凍
無理だ待てねえ!!







こんなに荒だった弟を見るのは久方ぶりだ。





いつもはこんなことないから。







轟焦凍
...
あなた
!?ちょっと、焦凍...!







そんなことを考えていると、突然、弟は私を横向きに抱き上げた。





そのまま既に敷かれていた布団の上に私を下ろし、押し倒してくる。







あなた
焦凍、ダメ。やめて
轟焦凍
だったら言えよ。嫌だ、って
あなた
っ...だから待ってって、
轟焦凍
待てねえよ!!もう無理なんだ!!
あなた







弟は悲鳴に近い声で叫ぶと、荒々しく唇を重ねてきた。





私は押し倒されたままの状態で抵抗できず、されるがままになる。







あなた
しょう、と...っ、だめだってば







そう言って胸板を叩くと、意外とあっさり唇を離してくれる。







轟焦凍
っ、これでわかっただろ
あなた
な、なにが...?
轟焦凍
俺がお前のことをどういう風に見てるのかだよ
あなた
...







思わず黙り込むと、弟は薄く嗤った。







轟焦凍
失望しただろ?実の双子の姉にこんな感情を抱く弟なんて
あなた
!違っ、
轟焦凍
だから早く突き放してくれ!!じゃないと俺は...!







ぱたり。





なにかが私の頬に当たり、反射的に目を瞑る。





次に目を開けて真っ先に飛び込んできたものを見て、私は驚いて目を見開いた。







轟焦凍
っ、頼むから...







弟が泣いていたからだ。







轟焦凍
嫌だって、無理だって言ってくれ...!







弟の涙が、再び私の頬に落ちる。







あなた
焦凍...
轟焦凍
なんで...っ、なんで言ってくれねぇんだ







そう言う弟は、まるで小さな子供のように見えた。





誰からも祝福されることのない、この感情。





わかっていた。





弟が私に向けてくる"好き"の感情は、明らかに家族に対する"好き"ではなかったから。





とうのとっくに、私はそれに気がついていたんだ。






それなのに、私は...。







あなた
ごめんね、焦凍







そう言うと、弟はめいっぱいに涙を溜めた目で私を見つめる。







あなた
私ね、わかってたの
轟焦凍
ぇ、
あなた
焦凍が私に対する"好き"の感情...。ずっと前から、わかってた
轟焦凍
!!







弟の目から再び、涙が零れ落ちる。







轟焦凍
じゃあなんで、突き放してくれなかったんだ...っ
あなた
!だってそれは、
轟焦凍
気がついてた上で俺にあんな態度とってたのかよ!!







弟はそう叫ぶと、小さな子供のようにぽろぽろと涙を零す。







轟焦凍
っ、なんでだよ...
あなた
...
轟焦凍
なんで俺、っ...。こんな、







弟のいう私への"好き"という感情は、家族に対して向けるべきではないものだ。





けれど、恋愛的にみるのも難しい。





じゃあいったい、この感情はなんなのか。





それは私にだってわからない。

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