第110話

No.110
17,377
2020/10/04 04:00
飯田天哉
緑谷くん、話はあとだ。まずは轟くんと八百万くんと合流しないと








え?







あなた
焦凍とヤオモモちゃんもいるの?
飯田天哉
ああ。二人にも協力してもらったんだ








じゃあやっぱり、あの大氷壁は弟のものだったんだ。







飯田天哉
とにかく、人混みに紛れてヴィランに見つからないようにしよう
切島鋭児郎
そうだな、行こうぜ








そう言って歩き出したところで、ふと私は疑問に思って聞いた。







あなた
ところでさ。なんで三人ともそんな格好してんの?
緑谷出久
えーっと、これは...そう!八百万さんの案だよ!








ヤオモモちゃんの案?





へえ、なんか意外。







切島鋭児郎
変装して侵入したんだ。いつものままだとバレる可能性あるからさ
あなた
へ、へえ〜...






正直、あんま隠しきれてないような気がするんだけど。





ま、いっか。







緑谷出久
僕、轟くんに電話してみるよ。無事に脱出できたかどうかも気になるし
飯田天哉
ああ。そうしてくれ






路地を抜け、人混みの方に向かって歩きだす。





緑谷くんが弟に電話をかけようとした、その時だ。







緑谷出久
!轟くんからだ








弟の方から電話がかかってきた。





弟の方は大丈夫なのかな。







緑谷出久
もしもし、轟くん?...うん、轟くんの方は?逃げ切れた?








どうやら無事かどうかを聞かれているみたい。





にしても、人多すぎない?ここ。







爆豪勝己
おい。逸れんなや舐めプ女
あなた
子供じゃないからわかってます








子供扱いしないでくれよ。





同じ高校生なんだから。







緑谷出久
よかった、僕らは駅前にいるよ








駅前には、人がたくさん集まっていた。





みんなの姿を見失わないように、気をつけないとね。







爆豪勝己
いいか!俺は助けられたわけじゃねえ!一番良い脱出経路がてめぇらだっただけだ!
切島鋭児郎
ナイス判断!








素直にありがとうって言えばいいのに。





変な意地張っちゃって。







爆豪勝己
オールマイトの足引っ張んのは嫌だったからな








そうだ。





私たちがあのまま戦闘を続けていれば、間違いなくオールマイトの足を引っ張る羽目になっていた。





あのオール・フォー・ワンと戦いながら私たちを救出するのは、いくらあのオールマイトでも無茶だろう。





緑谷くんたちが来ていなかったら、どうなっていたことやら。





と、







緑谷出久
轟さん
あなた
なに?
緑谷出久
これ、








そう言って緑谷くんは、自分のスマホを差し出してきた。





画面には、『轟くん』という文字が映っている。







緑谷出久
轟くんが、轟さんと話したいって
あなた
焦凍が...?








安否確認でもしたいのかな。





無事だってことはさっき緑谷くんが伝えていたし、わざわざここで話すこともないんじゃ...。







緑谷出久
轟くん、すっごい心配してたんだ。轟さんのこと
あなた
...
緑谷出久
電話、出てあげてほしいんだ
あなた
...うん。








まあ、今電話に出たとしても、家で散々な目に合うんだろうけどね。





私は少し苦笑しながら、緑谷くんの手からスマホを取る。





それから、恐る恐る耳に当てた。







あなた
もしもし、焦凍?
轟焦凍
あなた、か?








久しぶりに聞いた弟の声は、少し震えていた。

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