第571話

No.566
6,525
2021/07/17 14:23
轟焦凍
あなた
あなた
んー?
轟焦凍
好きだ







部屋に戻ってから早々、弟がそう言って抱きついてくる。





あんた風邪引いてること忘れてないか。







轟焦凍
すげぇ好きだ
あなた
ん、知ってるよ







好きだと言いながらくっついてくる弟は、幼い頃と少し似ている。





甘えんぼだなぁ。







轟焦凍
なあ、あなた
あなた
なあに?
轟焦凍
...一緒に寝たい







少し弱々しい声で言い、弟は背後からぎゅう、と抱きしめてくる。





私はそんな弟の頭に手を乗せ、軽く撫でてやる。







あなた
いいよ







ひとりは嫌だ、って言ってたものね。





弟は嬉しかったのか、再び私の肩にぐりぐりと頭を擦り付けてきた。







轟焦凍
好きだあなた、すげぇ好きだ。愛してる
あなた
もう、またそんなこと言って...
轟焦凍
嘘じゃねえ。俺は本気だ







いつの間にか背後から正面にまわり、こちらをじっ、と見つめてくる弟。





かと思ったら、耳元に唇を寄せて囁いてくる。







轟焦凍
好きだ、あなた。誰よりも愛してる
あなた







ぼん、と音がつくくらい、私は顔を真っ赤にさせる。





弟はそんな私を見ると、満足そうに口角を上げる。





まさに生きる少女漫画。





こんな甘々なセリフ、きっと私以外には誰にも言わない。





少しだけキュンとしたのは黙っておくことにする。







あなた
ば、ばか...
轟焦凍
可愛いな
あなた
可愛くないもん
轟焦凍
俺にとっては世界一可愛い







よくもまあそんなセリフを堂々と...。





恥ずかしくないのかこいつは。







轟焦凍
まあ、俺以外のやつらには絶対に見せねぇけどな、お前のこんな姿







ほんっとに恥じらいがないというか、なんというか...。





こっちが照れてばっかりなのは、なんか嫌だ。





私はなぜか対抗心を燃やし、弟を引き寄せて軽く口付けた。





弟が、驚いたように目を見開いているのがわかる。







あなた
大好きだよ、焦凍
轟焦凍







そう言うと、弟の顔がみるみるうちに赤く染まっていく。





ばっ、と口元を手の甲で隠し、私から目をそらした。





よし、勝った。







轟焦凍
っ、お前、それは反則だろ...
あなた
なに、照れてるの?
轟焦凍
!この...
あなた
ちょ、うわっ







弟は顔を赤くしたままこちらを向くと、突然私を押し倒した。





そしてそのまま、唇を合わせてくる。





ありゃ、ちょっとやりすぎたかな。







轟焦凍
お前が煽ったのが悪い







どこか怒ったような表情でそう言うと、弟は再び唇を重ねてくる。





まあいっか、たまには。





そう思いながら、私は弟のキスに応え続ける。





その後寝転がっていたせいで、そのまま寝落ちしたのは言うまでもない。

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