そんな中で、えーっ!?と興奮したように声を上げる者がいた。
思わず視線を上に向けると、そこにいたのはお父さんとオールマイト。
恐れていたことが現実になってる...。
弟はお父さんからそっぽを向いている。
よっぽど嫌なんだね。
やっぱりケミィ先輩か。
相変わらずなに言ってるのかわからん。
目良さんの言葉に反応するかのように、扉が開く。
入ってきたのは、予想通りギャングオルカ。
ギャングオルカの指導、結構厳しいんだよね。
そのひと言を聞いた瞬間、一瞬で空気が変わる。
ピシッ、と気をつけの体勢をとって並ぶ私たちを、ギャングオルカが見て回る。
うーん、相変わらず圧がすごい。
そう言うと、ギャングオルカはくわっ、と目を見開いた。
サーイエッサー!と全員で声を出す。
が、声が小さいと言われ、再び全員で叫んだ。
なんかの宗教みたいだよ、これ。
その声とともに、爆豪くんはぽいっ、と投げられる。
違う、そうじゃない。
弟の発言に、私は思わず突っ込みたくなった。
夜嵐くんの場合は、言い終わる前に投げられていた。
と、ギャングオルカはこちらに歩いてくる。
そう言われたかと思うと、なんの抵抗もなしに投げられた。
聞く耳持たず、っていうより、まず問いかけてすらいられないからね、私。
投げられて着地した瞬間、一瞬だけ足元がグラつく。
が、弟が慌てて抱きとめてくれたことにより、転ぶことは免れたのだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。