第454話

No.451
7,121
2021/08/30 09:21
上鳴電気
すげぇええ!!
芦戸三奈
めっちゃ上手いじゃーん!!
瀬呂範太
想像以上だな!!
葉隠透
じゃああなたちゃんもボーカル決定だね!!







私が歌い終わると、全員が歓声を上げる。





そんなみんなに申し訳なく思いながらも、私は口を開いた。







あなた
ごめん、みんな。私、やっぱりボーカルはやらない
芦戸三奈
えー!
葉隠透
どうして!?あんなに上手だったのに!







みんなが同様に騒ぎ出す。





けれど、私は続けた。







あなた
私には、やらなくちゃいけないことがあるの。今は正直、そっちの方に集中したい。詳しい内容は言えないけど、今私がボーカルをやったとしても、たぶん本番になったら失敗する







それから私は、爆豪くんに目を向けた。







あなた
爆豪くん、言ってたよね。"全員音で殺る"って。本気でやるんだ、って。だったら私も、それに答えなくちゃ、って思ったんだ
爆豪勝己
...







そう言ったあと、もう一度みんなに目を向ける。







あなた
正直、私は本気でボーカルをできないと思う。だからボーカルはやらない。でも響香ちゃんなら、きっとベースとボーカルを両立できると思ってる
耳郎響香
あなた...







私は顔を上げ、笑った。







あなた
だけど協力しないわけじゃない。だから私は、目立たないところでみんなを支えていきたいの。縁の下の力持ち、ってやつ。私もこのA組の一員だもの。みんなのこと大好きだから、この文化祭での出し物、みんなと成功させたい







だから、







あなた
私はみんなのこと、本気で支えていきたい。...ダメ、かな?







そう言うと、みんなは顔を見合わせる。





と思ったら、一斉に私に抱きついてきた。







あなた
わっ!え、なに!?
麗日お茶子
あなたちゃん!私も大好きやよ!!
葉隠透
私もー!!
上鳴電気
姫ぇえええ!!俺も大好きいいいい!!
切島鋭児郎
俺も好きだー!!







わーわーと騒ぎながら抱きついてくるみんなに、ひたすらもみくちゃにされる。





でも、不思議と嫌な気持ちには全然ならなかった。







あなた
ありがとう...







思わず呟く。





と、







轟焦凍
みんな悪ぃ。退いてくれ







弟の凛とした声が響いた。





みんなは瞬きをしながら、不思議そうに離れる。





弟はみんなが離れたのを確認すると、私の方に歩み寄ってきた。





なんだなんだ。





不思議に思いながらきょとんとしていると、突然、腕を引っ張られて引き寄せられ、唇が合わせられた。





突然のことに目を見開く私。





黄色い声を上げる女子たち。





そして、よくわからない歓声と怒声を上げる男子たち。





弟は唇を離すと私を抱きしめ、不敵に笑った。







轟焦凍
悪ぃな、こいつは俺のだ







羞恥から、私は真っ赤になった。





女子たちは黄色い声を上げながら騒いでいて、男子はというと一部が怒鳴り散らしている。





まあ、怒鳴ってるのは峰田くんだけなんだけどね。





てか、後始末どうするんだよ。





なんてことしてくれたのさ、もう...。

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