第287話

No.287
10,753
2020/12/26 05:11
どうして。







???
そんな目で"俺"を見るなよ








もうやめて。







???
俺を恨んだって仕方ねぇよ。恨むんなら"お前たちの___"を恨むんだな








ねぇ、お願い。







???
"過去は消えない"








戻ってきてよ。







???
"あなた、お前も一緒に堕ちよう。地獄で俺と踊ろうぜ"








嫌だ。





お願い、戻ってきて。





なんで"そっち側"にいるの?







あなた
もうやめて、お願い!!___!!










***









___大丈夫。









"あなたには、俺がついてるから"









***









あなた
...








ゆっくりと瞼を持ち上げる。





真っ先に視界に映ったのは、赤と白のおめでたい色の頭。





2色の瞳。





痛々しい、火傷の跡。







あなた
...しょうと?
轟焦凍








こちらを見つめているのは、弟だった。





弟はほっ、としたように微笑むと、急に私を抱きしめてくる。





力強いから苦しいんだが。







あなた
苦しい








そう言えば、体が離される。







轟焦凍
大丈夫か?すげえ魘されてたぞ







やっぱり魘されてたんだ。







轟焦凍
どんな夢だったんだ...?
あなた
...別に。大したことない
轟焦凍
...信じられるわけねえだろ







白状しろ、とでも言わんばかりにこちらを見つめる弟。





その手にはのらんからな。





私はふいと顔を逸らし、だんまりを決め込む。





こうなったら意地でも話さないということを、弟はよく知っているはずだ。





その証拠として、弟は仕方なさそうにため息をついたのだから。







轟焦凍
体調はどうだ?
あなた
ちょっと寝たら結構楽になったよ








これは本当だ。





汗をかいたせいか、怠さはほとんどなくなり、かなり楽になった。





これなら今日中に治りそうかな。







轟焦凍
熱測ってみろ。ほら、体温計
あなた
ありがと








しばらくして出た数値は、37.6℃。





ありゃ、まだそれなりにあるじゃんか。







轟焦凍
まだ結構あるじゃねえか。まあ、しんどいのが少しは楽になったなら良かったな
あなた
そうだね








それにしても、さっきみた夢はなんだったんだろ。





さっきみたばかりだというのに、内容はほとんど思い出せない。





しかも、過去のことに関しての夢なんかじゃなくて、もっと先のことのような夢だった。





...結局、なんだったんだろ。

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