第297話

No.297
10,779
2020/12/29 02:28
あなた
退いてよ
轟焦凍
嫌だ







あんたは病人相手になにやってんだよ。





早く退いてくれよ、寝させてくれよ。







轟焦凍
力じゃ俺に敵わねぇだろ?
あなた
そんなの自分でもわかってる







同じ歳の男女の力の差なんて、嫌でもわかるよ。





でも、だからって押し倒していいってわけじゃないでしょーが。







轟焦凍
熱あるんなら尚更だな...







こいつなに企んでんだ。





黙ってじっ、と見つめていると、ふいに弟が私の耳元に唇をよせた。







轟焦凍
煽ってきたお前が悪いんだ、覚悟しろよ
あなた
!な、なに言って...っ







耳元で低く、甘く囁かれる。





そのままぺろ、と耳朶を舐められ、思わず声が出そうになるのを抑える。





そのまま口元に手を当て、声が出ないように押さえた。





が、







轟焦凍
声抑えんな







弟にいとも簡単に退けられてしまった、無念。





でもこの状況はまずい。





なんでこいつは変なスイッチ入ったんだよ。





病人襲って楽しいのか、しかも実の双子の姉だぞ。







轟焦凍
今熱あるんなら、こん中とかあったけぇのか?







弟はそんなことを言って、私の唇に触れる。





こん中、って...。







あなた
え、ちょ、まっ
轟焦凍
待たねぇって
あなた
いや、私風邪引いてるから...
轟焦凍
関係ねぇよ







あるわボケ。





なんとか押し返そうとするも、やっぱり敵わなくて...。





もうダメだこりゃ。







轟焦凍
風邪、つらいか?
あなた
そりゃあ、つらいよ。まだ結構熱あるし、それに...
轟焦凍
だったら俺にうつしちまえばいい
あなた
それはダメでしょ







てかまず晩御飯食べようよ。





冷めちゃうじゃんか。







あなた
まず晩御飯食べよ。ね?
轟焦凍
別にあとでいい。俺はあなたがいい
あなた
いや、私食べなきゃ治らないし。早く食べたいんだけど
轟焦凍
俺も腹減ったな
あなた
うん。だからご飯食べ...
轟焦凍
だからあなた食べる







...は?







あなた
今なんて...?
轟焦凍
あなた食べるって言った







食べる?私を?





ちょっと待って言葉の意味がよくわからない。







轟焦凍
意味がわからねぇならわからせてやるよ
あなた
っ、近いってば







鼻先が触れそうなくらいに顔を近づけてくる弟。





お互いの吐息が顔にかかり、私はいたたまれなくなって顔を逸らそうとする。





が、







轟焦凍
させねぇぞ。顔逸らすな、こっち向けよ







弟に顎を掴まれて固定され、動けないようにされた。





誰か助けてくれ。

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