第58話

No.58
20,694
2020/09/15 15:04
なんでこうなった。







轟焦凍
涼しいだろ?








弟はこちらを見つめて問いかけてくる。





今の状況をざっと説明するとね。





前と同じように、二人でひとつの布団に入ってる。





で、私は弟に抱きつかれてる。





以上。







あなた
涼しいっちゃ涼しいけど、暑い








抱きつかれたまま布団の中に入っていれば、暑いにきまってる。





弟は右の個性を上手く使い、私の体を冷やしてくれている。







轟焦凍
ならもう少し強くするか?
あなた
んー。じゃあ、お願い
轟焦凍
任せろ








暗い中で、ほんの少し見えるくらいの冷気を漂わせる。





お、結構いいじゃん。







あなた
ありがと。これで結構寝やすくなったよ
轟焦凍
お、よかった








ふと、弟はなにかを思いついたような表情をする。







轟焦凍
林間合宿って、部屋共同なのか?
あなた
え、さすがにそれはないでしょ
轟焦凍
なら一緒に寝れねぇのか...
あなた
アホか








林間合宿でも一緒に寝るつもりだったのか、こいつ。





さすがにそれはね、クラスメイトにバレたらまずいでしょ。







あなた
学校では甘えちゃダメ。わかってるでしょ
轟焦凍
わかってるけどよ、








しゅん、と子犬のようになった弟。







轟焦凍
二日間も甘えられねぇのは嫌だ
あなた
そんなこと言われてもなあ








合宿で二人になれる時なんて、あるのかな。





なさそう。







あなた
我慢して
轟焦凍
...わかった
あなた
ん、いい子
轟焦凍
その代わり今甘える
あなた
はいはい








ぎゅうう、と効果音が付きそうなくらい、弟は私に強く抱きつく。





抱き枕にされてんだけど、私。







轟焦凍
あなた
あなた
なーに








私の肩に、ぐりぐりと頭を押し付けてくる弟。





肩痛いうえに、髪が頬に当たってくすぐったい。





無駄に髪さらさらなのムカつくな。







あなた
今日、助けてくれてありがとね








死柄木に遭遇するとは思わなかったから、弟が居てくれてよかったと思う。





たぶん、私一人だったらやばかったかも。







轟焦凍
当たり前だろ。ヒーロー志望のやつが困ってる人を助けねえでどうすんだ








相変わらず正義感強いな、こいつは。





昔と比べて、ホントに成長したよね。







轟焦凍
それに、昔言っただろ?
あなた
なにを?
轟焦凍
あなたは俺が守る、って








"僕、あなたを守れるようなヒーローになる!!"







昔、弟が私に言ってくれた言葉だ。





覚えてたんだね。







あなた
ありがと、焦凍
轟焦凍
おう








思わず微笑むと、弟も柔らかく微笑み返してくれる。





弟が私を守ってくれるのなら。





私は弟を守れるように、頑張らなきゃね。

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