第39話

No.39
23,677
2020/09/06 06:09
あれから、弟が何回も何回もいろんなものを持ってきて...。







轟焦凍
これ
あなた
却下
轟焦凍
これ
あなた
却下
轟焦凍
これ
あなた
却下!








さっきからこの会話の繰り返しだ。







轟焦凍
選ぶのって、意外と難しいんだな








正直、弟が選ぶより私が選んだ方が早いと思うんだけど。





でも、一生懸命悩んで選ぼうとしてくれている姿を見ると、なんだか申し訳ない。





まあ、私ももう少し店内を見て回ろうかな。







あなた
ちょっとそこら辺見てくるよ
轟焦凍
おう








髪留めの他にも、手鏡やピアス、ネックレスやイヤリングなど。





品揃えが豊富だ。





と、







あなた
あ、これ可愛い








ひとつの髪留めが目に止まった。





星空をイメージしたシュシュだ。





綺麗な瑠璃色のシュシュに、小さな星の飾りが散らばられている。





ちょこん、と三日月のチャームが付いているのも、結構可愛い。





思わず手を伸ばした、その時だった。







轟焦凍
あなた
え?








私の手とともに誰かの手が伸びてきて、手が重なった。





思わず相手の方を見ると、手を伸ばしていたのは弟だった。





弟も少し驚いたようにして、私を見つめている。







轟焦凍
これがいいのか?
あなた
う、ん。自分的に好みの色合いだし、飾りも可愛いなって思ったから
轟焦凍
そうか。ならこれにしよう
あなた
え、ちょっ、どこ行くの?








シュシュを持ってスタスタと歩き出す弟に、思わず声をかける。





が、弟は振り返らずに、そのままレジへと向かっていく。







轟焦凍
ん、これ
あなた
え、あ、お金返すね
轟焦凍
いらねえ








私がぼーっ、としている間に、弟はさっさと会計を済ませてこちらに戻ってくる。





紙袋を渡されてお金を返そうと財布を開くが、弟はいらないと言い続ける一方だ。







あなた
でも、
轟焦凍
俺があなたに買いたくて買ったんだから、別にいい
あなた
そっか。じゃあ、ありがたく貰うね。ありがと
轟焦凍
おう








お礼を言えば、弟は満足そうに微笑んだ。





てか、よく私の好みわかったよね。







あなた
次はどうする?どっか行きたいとことかある?
轟焦凍
俺、靴が見てぇ
あなた
じゃあそうしよっか








今思えば結構ぼろぼろだもんね、あんたの靴。





そろそろ買わなきゃって思ってたし、丁度いいのかな。







轟焦凍
あなたも来るか?
あなた
うーん。私はここで待ってるよ、見といで
轟焦凍
わかった








弟が靴屋に入っていったのを見届けて、私はすぐ側のベンチに座って待つことにした。

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