第472話

No.469
7,225
2021/04/30 08:04
あなた
ご、ごめ...っ
轟焦凍
...
あなた
やっぱり、私...







触れられることに、なぜか恐怖を覚えた。





カタカタと震える体は、言うことを聞かない。







轟焦凍
わ、悪ぃ...







突然ぼろぼろと涙を流し始めた私を見て驚いたのか、弟は慌てたように言い、私を起き上がらせる。





そのままギュッ、と私を抱きしめ、ぽんぽんと背中を叩く。







轟焦凍
ごめん、俺が悪かった。だから泣かないでくれ
あなた
ち、違う。焦凍のせいじゃない...







弟に抱きついたまま、言葉を続ける。







あなた
ただ、恐かったの...







触れられることが恐かった。





普通の人なら、なに言ってんだ、ってなると思う。





だけど、私は...。







あなた
ごめんなさい...っ
轟焦凍
あなた...







さっきまで受け入れていたというのに。





どうして、拒んでしまったんだろう。





自分でもわけがわからなかった。





悲しそうに弟の口から呟かれた、私の名前。





その一言には、いろんな感情が入り交じっていた。







轟焦凍
ごめんな。もっと早く気がついてやればよかった
あなた
焦凍は、悪くな...
轟焦凍
いや、今回は完全に俺が悪かった...。誘惑に負けて、自分のことしか考えられてなかった







誘惑...?







轟焦凍
お前があまりにも可愛かったから...。正直、理性抑えるのに必死だった
あなた







その言葉を聞いて、涙がぴたりと止まる。





思わず顔を上げると、弟も私を見つめてきた。







轟焦凍
でも、結果的に恐がらせちまったな...
あなた
...







弟は、どこか悲しそうに笑う。





その表情を見て、胸が痛くなった。







あなた
...ねぇ、焦凍
轟焦凍
なんだ?
あなた
あのね。私、今はまだ触れられるのは恐いよ。けど、







私は覚悟を決めて、口を開いた。







あなた
お、大人になって、もし一緒にいることができたら...。その時は、ほんとにちゃんと受け入れる
轟焦凍
あなた
だから、それまで待ってほしいの







自分のわがままであることはわかっている。





だけど、今触れられることにはどうしても恐怖を感じてしまう。





大人になれば、多少は触れられることについて理解しているだろうから。







轟焦凍
...ああ、もちろんだ







弟は嬉しそうに笑うと、そう言って頷いた。







轟焦凍
もし一緒にいることができたら、じゃなくて
あなた
轟焦凍
ずっと一緒にいるだろ?
あなた
!...うん、そうだね







そう言って、私は優しく弟に笑いかけた。

プリ小説オーディオドラマ