なんなんだよいったい。
いや恥ずかしいからさっさと着替えたいんだけど。
こんなクラシカルなメイド服、ハロウィンじゃあるまいし...。
思わず呟いた言葉を、弟が拾う。
だいたい、こういうメイド服はもっと可愛い子じゃないと似合わないんだよ。
私なんか別に、可愛くともなんともないのに。
心読まれてる...。
私は少しぽかんとしたあと、首を振る。
そう言うと、弟は満足そうに笑った。
そもそも抱かれる気ないけど。
そう言って取り出したのは、猫耳カチューシャ。
ヤオモモちゃん...喜ばないでくれ。
ただでさえ恥ずかしいのに、こんなの被れないよ。
でもこいつのことだから、無理にでも被らせてくるだろうし。
そんなの私にとってはデメリットしかないじゃん。
メリットになる方法ないかなぁ...。
...あ、そうだ。
よし、なんとか上手くいった。
これなら私にとってもメリットあるし、五分五分だよね。
弟が猫耳カチューシャを被って、顔を上げてこちらを見つめる。
それを見た私は、即スマホを構えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。