一瞬誤魔化そうと思ったが、この姿を見られた以上、隠してもあまり意味がないだろう。
そう思い、私はため息をついて事情を話した。
***
事を話し終えると、心操くんは納得したような表情を見せる。
そう言って私は、服が燃えない程度に軽く炎を出して見せる。
ほんとに見た目が変わっただけで、あとはなにもないんだよね。
いつ元に戻れるんだろ。
心操くんはそう言いながら、私を見つめる。
変な風に思われたくなくて、私は即答する。
そう言ってへらりと笑うと、心操くんはぱちぱちと瞬きを繰り返す。
と思ったら、予想外のひと言。
カワイイ?
私が?
あまりの衝撃のひと言に、私は少し混乱気味だ。
だって、あんまり関わったことのない人から急にこんなこと言われるんだよ?
驚く以外の選択肢が思いつかないよ。
ほぼ黒歴史なんだから。
まあこの姿だし、子供は誰だって可愛く見えるものだものね。
心操くんもきっと今の私を見て一時的に言っているだけだと思うし、別に気にする必要ない。
彼のきょとんとした表情を見てから、私は教室に向かって歩き出す。
それにしてもこの格好...。
みんななんて言うかなぁ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。