カタコトになってんぞ。
手に持っていた黒のスキニーを弟に渡し、私はまた違う服を眺める。
ジーパンもいいんだけど、この季節だと短パンも必要だよね。
あとは、Tシャツだったら白とか?
うーん、迷うな。
派手なものは好まない。
やっぱシンプルなのが一番だよね。
私が選んだのは、黒のスキニーと白のTシャツ。
それから、紺色の短パン。
サイズは合ってるはずだし、色合いも大丈夫だと思うんだけど。
シャッ、と試着室のカーテンを開けて、弟がひょこっと顔を覗かせる。
まず試着したのは、黒のスキニー。
モデルか、って思うくらいに、弟のスキニー姿は驚くほど似合っていた。
足も細いし、なんかムカつくな。
おっといけない。
本音がダダ漏れになっちゃったよ。
残りの短パンとTシャツを試着した弟を見てみたけれど。
ムカつくほど似合っていた。
いいよなぁ、イケメンは。
なんでも似合うんだからさ。
弟の服と猫耳パーカーを買い物カゴに入れ、私は自分の好みの服を探す。
私も夏物欲しいんだよね。
ちょっと思い切って、ミニスカートとかもいいかもしれない。
好みの服を探していると、弟に呼ばれる。
私は思わず目をぱちくり。
弟が?選ぶ?私の服を?
なんとなくでお願いしちゃったけど。
大丈夫かなあ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!