顔を洗ったあと、弟はなにもせずに戻ろうとする。
その腕を、私は思わず掴んだ。
髪ボッサボサの状態で学校行かれるのは、なんかやだ。
だから、なんか世話焼いちゃうんだよね。
弟はそこら辺にある椅子を持ってくると、私の前に座る。
弟が素直で本当に良かったと思うよ。
クシを使って髪を整えてやる。
弟は元々髪質が良いせいか、絡まることがない。
対してケアもしてないだろうけど、なんでこんなにさらさらなんだか。
なんでそんな不満そうなの。
なにがあった。
私、結構学校でも髪下ろしたりしてんだけど。
結び直す時限定ね。
理由になってないよそれ。
あーだこーだしているうちに、髪を整え終わる。
ん、いい感じにできたかな。
髪質が髪質だからね。
整えやすくて助かったよ。
て、時間結構あるじゃん。
鬼畜メニュー用意してそうだもん。
お姉ちゃんはニコリと笑う。
なんかあったら心配だけど、一応お父さんもいるものね。
うん、大丈夫だと信じよう。
お姉ちゃんの言葉に頷き、私と弟は家を出て学校に向かった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。