そう言いながら、私は布団に向かってダイブする。
弟はそう言って、私の隣にとことこと歩いてくる。
あれから1時間程、私は女子たちから爆豪くんについてどう思うかをずっと聞かれていたんだ。
質問に応えるのはいいんだけど、さすがに疲れた。
私は頷いた。
そこまで言ってから、気がついた。
弟の表情が、明らかに不満げになっていることに。
仰向けに寝転がっている私に覆い被さるようにして、弟は体勢を変える。
そう言ったかと思うと、弟は突然、私の首元に顔を埋めた。
それからちゅ、とわざとらしいリップ音をたてて喉にキスを落とし、離れる。
私の言葉を聞いて、弟は無言になる。
と、覆い被さっていた体勢をやめ、体を起こした。
かと思っていたら、
今度は腰にキスをしてきた。
こ、腰にキス!?
なに、どういう意味なのさ。
意味がわからずに目を白黒させている私を見て、弟は不敵に笑う。
弟はそう言って、私の唇に人差し指で触れる。
そして私が止める間もないまま、唇を合わせられた。
舌を入れてくるかと一瞬身構えたが、そんなことはなく、ただ触れるだけだ。
するだけして、弟は私から離れる。
また弟の思うツボだ。
弟は満足そうに口角を上げると、部屋のドアノブに手をかける。
それから、こちらの方を振り返って口を開いた。
それだけ言うと、弟は部屋を出ていった。
さっきキスした場所の意味...?
確か、喉と腰だったよね。
私は自分のスマホで、弟がキスをしてきた場所の意味を調べる。
その場所の意味を知った瞬間、私は差恥から、ひとりで顔を赤らめた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。