うわぁ、すっごい落ち込んでる。
仕方ない、ここはお姉ちゃんとして人肌脱ごうじゃないか。
私は弟に近寄り、ぽん、と頭に手を置く。
弟はそれに気づいてこちらを向くと、私の肩に頭を乗せてきた。
これ相当メンタルいってるね、ここまで落ち込むの珍しいもの。
肩に頭を乗せたままの弟を慰めていると、夜嵐くんが横でなんともいえない表情をしていた。
やっぱりちっちゃい子と戯れるのは苦手なのかな、こいつは。
弟の落ち込んでいる姿を見たせいか、爆豪くんは罵倒せずにそう呟いた。
弟の頭を撫でながら言うと、先輩はそう言って笑う。
と、それを見た爆豪くんも参戦。
まあ、別にいいけど。
弟はちらりと爆豪くんに目をやると、口を開く。
火に油を注ぐようなことはしないでよ。
弟は満足したのか、肩から頭を起こす。
もう、あとで程々にするように言っておかないと。
ええ...。
できれば安全な方法で解決したいんだけどな。
二人も賛成なの?
でもまあ、全員が賛成してるんだものね。
ここで対立なんてしたくないし...仕方ない、今回は任せよう。
と、爆豪くんがこちらに来て、私の耳元で囁いた。
デモンストレーション、っていうのは、物事が現実であるかを確かに示すこと、事実であることを証明すること、実物に即して本物の機能を示すことなどを意味するんだけど。
爆豪くんのことだから、乱暴なことしてやるのかと思ってた。
けどどうやら、本人曰く違うらしい。
じゃあ、いったいどうやって...?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。