第575話

No.570
15,654
2021/07/19 14:09
あなた
...
轟焦凍
...







言うことが見つからず、お互いに沈黙する。





なんか、気まずい...。





だって、せ、セックスとか、なんで...。





そりゃあ、私だって一度は考えたことあるよ?





でも弟にだって何度もおねだりされたけど断ってきたし。





時々雰囲気に流されそうになったりしたけど、結局なにもやってないんだよ。





大人になったら、って話を、ついこの間したばかりなのに...。





なんで急にこんなことに...。







轟焦凍
...なあ、あなた
あなた
!な、なに?







先に沈黙を破ったのは弟だ。





弟は真剣な眼差しで、こちらをじっ、と見つめている。





ちなみに今の状態を表すと、ダブルベッドの上に2人で向かい合わせになっている状態だ。







轟焦凍
どうする
あなた
え?
轟焦凍
セックスしねえと出れねえのはわかってる。けど、俺はお前に嫌な思いはさせたくねぇんだ
あなた
...
轟焦凍
だから、お前が決めてくれ







そんなこと、言われても...。





弟の真剣な瞳に耐えられなくなり、私は思わず目をそらす。





決めてくれ、って言われても、しなきゃ出れないんだよ?





ここがどこかもわからないから、助けが来るのがいつになるのかすらわからない。





時間もわからないから、ずっとここにいるわけにもいかない。





...するしか、ないのかな。







あなた
...焦凍は、
轟焦凍
あなた
焦凍は、どうしたい?
轟焦凍
したい







弟は私を見つめたまま、言葉を紡ぐ。







轟焦凍
前から言ってるだろ。俺はお前としたい、って。正直、今もその気持ちは変わってねえ。けど、さっきも言ったが俺はお前に嫌な思いをさせたくねえ。だから、お前の判断で決めてほしい
あなた
私は...







あんたを、困らせたくない。





私だって弟が好きだ。





姉弟としてとかそんなんじゃなくて、違う意味での好きの気持ちだ。





だから、いつかこうなる日が来ることは覚悟してたつもりだった。





こんな形でくるとは、思わなかったけど...。





でも嫌なわけじゃない。





そう思うなら、今でも大人になってやっても一緒なんじゃないか。





そう思った。







あなた
私は、
轟焦凍
...
あなた
焦凍なら、いいよ。恐くないから







その言葉を、弟は合意と受け取ったらしい。





優しく、けど嬉しそうに微笑んで、私の額にキスをする。





それから、ゆっくりと私を押し倒す。







轟焦凍
ありがとな。優しくする







そう言ってもう一度微笑んでから、唇を合わせてきた。

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