言うことが見つからず、お互いに沈黙する。
なんか、気まずい...。
だって、せ、セックスとか、なんで...。
そりゃあ、私だって一度は考えたことあるよ?
でも弟にだって何度もおねだりされたけど断ってきたし。
時々雰囲気に流されそうになったりしたけど、結局なにもやってないんだよ。
大人になったら、って話を、ついこの間したばかりなのに...。
なんで急にこんなことに...。
先に沈黙を破ったのは弟だ。
弟は真剣な眼差しで、こちらをじっ、と見つめている。
ちなみに今の状態を表すと、ダブルベッドの上に2人で向かい合わせになっている状態だ。
そんなこと、言われても...。
弟の真剣な瞳に耐えられなくなり、私は思わず目をそらす。
決めてくれ、って言われても、しなきゃ出れないんだよ?
ここがどこかもわからないから、助けが来るのがいつになるのかすらわからない。
時間もわからないから、ずっとここにいるわけにもいかない。
...するしか、ないのかな。
弟は私を見つめたまま、言葉を紡ぐ。
あんたを、困らせたくない。
私だって弟が好きだ。
姉弟としてとかそんなんじゃなくて、違う意味での好きの気持ちだ。
だから、いつかこうなる日が来ることは覚悟してたつもりだった。
こんな形でくるとは、思わなかったけど...。
でも嫌なわけじゃない。
そう思うなら、今でも大人になってやっても一緒なんじゃないか。
そう思った。
その言葉を、弟は合意と受け取ったらしい。
優しく、けど嬉しそうに微笑んで、私の額にキスをする。
それから、ゆっくりと私を押し倒す。
そう言ってもう一度微笑んでから、唇を合わせてきた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。