ミッドナイト先生に呼ばれ、緑谷くんはプールサイドへと向かっていく。
あれ?
ところで弟はどこに...?
ぽん、と急に肩を叩かれた上に耳元で名前を呼ばれ、思わず飛び上がった。
なんで行かないのさ。
意図が掴めず、私は弟を見つめる。
弟はしばらく俯いて黙っていたかと思うと、顔を上げて私を見つめた。
思わず間抜けな声が出てしまい、慌てて手で口元を押さえる。
だけど弟はそんなこと気にしていないようで、真剣にこちらを見つめている。
夏休みにプール来た時も、似たようなこと言われた気がするんだけど。
結構棒読みだと思ったんだけど、よかったのかな。
嬉しそうに頷いて緑谷くんの方へと歩いていく弟を見送りながら、ぽやんと考える。
ま、いっか。
突然ぐいっ、と腕を引っ張られる。
見れば、いつの間にか近くに来ていたらしい、爆豪くんが私の腕を掴んでいた。
とそこへ、切島くんと上鳴くん、瀬呂くんの三人が爆豪くんの方へと歩いてきた。
にやにやと意味ありげな笑みを向けてくる二人に対し、切島くんはきょとん顔。
上鳴くんの顔をぎゅううっ、と掴んで締めつける爆豪くん。
私と切島くんが慌てて止めに入り、瀬呂くんはやれやれといわんばかりに苦笑している。
まったく、すぐに煽るようなこと言うんだから。
一緒に見学するのはいいんだけどさ、瀬呂くん。
なんか企んでる顔してるよ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。