第343話

No.341
9,360
2021/05/05 15:44
これでよし、と弧を描いた唇で肉まんをかぷりと食む。







爆豪勝己
.....、な...
あなた
?唇になんか付いたままにしておいたら、痒くなっちゃうんだよ?







フルーツの汁とかもそうだよね。





昔弟がそうなっていたのをよく覚えてるんだ。





口が小さいのは今も昔も変わってないけど。







あなた
急いで食べすぎるから付いちゃうんだよ







パク、と指についた欠片を口に入れると、爆豪くんの切れ長の瞳がみるみる開かれていく。







あなた
肉まんは逃げたりしないんだから、もっとゆっくり食べれば....爆豪くん?







ちらりと目を向ければ、こちらを凝視している爆豪くんと目が合う。







あなた
どうかした?
爆豪勝己







黙ったままの爆豪くんの顔を覗き込むと、彼は驚いたように肩をビクつかせる。





どうしたんだろ。







爆豪勝己
...今はこっち見んじゃねえ
あなた







なんで?





そう問いかける前に、ふいっ、と爆豪くんはそっぽを向いてしまった。





私なんかしたかな。







あなた
もしかしてお節介だった?
爆豪勝己
...違ぇ







そっぽを向いたままだけれど、ちらりと見えた耳が真っ赤になっているのがわかる。





熱でもあるのかな。







あなた
耳真っ赤だけど、熱あるんなら部屋戻った方がいいよ?
爆豪勝己
ちっげぇわ!!







爆豪くんはそう言って、ばっ、とこちらに振り向く。





私は彼の顔を見て、目を見開いた。





額から耳にかけて、真っ赤になっていたからだ。







あなた
え...
爆豪勝己
てめぇのせいで赤くなっとんだわ!!急にお前、この...だぁああクソ!!!







そう言って、爆豪くんは立ち上がる。






爆豪勝己
てめぇも鈍感なんだよ!ぽやぽやしてんじゃねえ!
あなた
そんな、焦凍じゃあるまいし
爆豪勝己
俺から見りゃ一緒だわ!こっちの気も知らねぇでてめぇはよぉ!!







えぇ...。





なんかごめん。







あなた
...嫌なら言えばいいのに
爆豪勝己
ざっけんな嫌じゃねえんだわ
あなた
へ?







そのひと言に顔を上げ、思わず爆豪くんを見つめる。





爆豪くんはしまったとでもいうような表情をすると、私に気がついたのか、少し顔を赤くした。







あなた
今の、って...。どういう意味?
爆豪勝己
...〜〜!んでもねぇわっ!!







そう言うと、爆豪くんは顔を赤くしたまま歩いて行ってしまった。





ぽつんと残された私は、再び肉まんを頬張る。





...爆豪くんの今の言葉、どういう意味なんだろ。

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