おつかれ〜!
すかさずお姉ちゃんがそう言ったのを見て、父は口を開く。
...久しぶりだな
こういう時、なんて言えばいいのかわからない。
だから私は、無言で蕎麦をすすった。
あなたと焦凍はわざわざ外出許可いただいてね!先生にも上がっていただくつもりだったけど、遠慮するって
お姉ちゃんが、今の状況に至る経緯を話す。
とりあえず、大仕事おつかれ様でしたってことで...ね!
と、弟が父を見て、口を開く。
傷跡...ひでえな
ちらりと見てみると、確かに大きな痣のようになっている。
言っちゃ悪いけど、弟と似てるような...。
いや、やめておこう。
弟の言葉を最後に、私と弟、それから夏兄は、無言で蕎麦をすすり続ける。
三人とも、おつかれくらい言いなさいな!今日は労おうって約束でしょ!
お姉ちゃんが私たち三人を見て、小声で話し出す。
せっかくお父さんが家族を顧みようとし始めてるんだから!嫌いだからって顔に出しすぎだよ!
聞こえてるぞ
と、夏兄が突然、立ち上がった。
姉ちゃんごめん、やっぱムリっぽい、俺
なつ!
居間を出ていこうとした夏兄の肩に手を置き、父は口を開く。
夏雄。言いたいことがあるなら言え
夏兄はそれを聞いて、父を睨めつける。
言えって...目ェ合わせたこともないくせに急によく言うね。俺さ、焦凍がそば好きなんて初めて知ったよ。あんたが俺たちと関わらせないようにしてたから
私は思わず食べる手を止めて、夏兄を見つめる。
お母さんも姉ちゃんも、あなたも、何故か許す流れなんだけどさ。俺の中じゃイカレ野郎絶賛継続中だよ。変わったようで全然変わってない。俺たちは放ったらかし、聞こえてくるお母さんの悲鳴、焦凍とあなたの泣き声、燈矢兄のこともさ...!No.1になって強敵倒したところで、心から消えるハズない
夏兄はそう言いながら、障子に拳を叩きつける。
勝手に心変わりして、一方的に縒り戻そうってか!気持ち悪いぜ!
私は思わず目を見開いた。
夏兄がこんなに感情をむき出しにするところを見るのは、初めてだったからだ。
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