私が寂しいと思う時、か。
やっぱり、
そう言うと、弟は驚いたように少し目を見開いた。
だけどそれは一瞬で、すぐに嬉しそうに口元を緩めた。
寂しいと思うのは、ずっと一緒にいたから?
お互いに相手を求めているから?
それとも、双子だから?
いつの間にか、弟は私から離れていて。
凛とした瞳で私を見つめていた。
ああ。
いつの間にか、そんなことを考えるようになったんだね。
雄英に入学した当初は、周りなんてどうでもいいって感じでいたのに。
周りのみんなに、無関心だったのに。
あんたがそう考えるようになったのは、
みんなのおかげかな。
みんながあんたを変えてくれたんだね。
せっかくいいこと言ってたのに、台無しになっちゃったじゃん。
ぐりぐりと頭を私の肩に押し付けてくる弟。
まだ髪乾いてないのにそんなことされたら、寝間着が濡れちゃうでしょーが。
ホントに学校と家での態度が違うんだよね。
二重人格なの?
と、
弟が突然、私の首筋を甘噛みしてきた。
髪当たるし、なんかこそばゆいからやめてくれよ。
まずどこから覚えてきたんだ、それ。
私はそんなこと、教えた覚えないぞ。
渋々承諾すると、弟は私から離れる。
そしてあたかもなにもなかったかのように、お茶を一口すする。
甘えるの限度を超えている気がするのは、私だけ?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。