第163話

No.163
14,690
2020/10/18 01:17
爆豪勝己
お前、
あなた
爆豪勝己
デクのこと、好きなんか
あなた
へ?








教室に向かっている途中。





爆豪くんからそんな言葉が紡がれた。







あなた
なんで?
爆豪勝己
よく一緒に居んだろ
あなた
あー...








まあ、確かにそうかもしれないけど。







あなた
友達としては好きだけど、爆豪くんが思ってる好きとは違うよ
爆豪勝己
そうかよ








なんでこんなこと聞くんだろ。





爆豪くんはそれだけ聞くと、何事もなかったかのように歩き進む。





自分から話題ふっといて、なにがしたいんだ。







あなた
なんかあった?
爆豪勝己
なんでもねえよ








そのままなにも言わず、歩き続ける爆豪くん。





さっぱりわからん。







爆豪勝己
必殺技完成したんか
あなた
え、まだだけど...
爆豪勝己
仮免までに完成できるんか
あなた
...わかんない








必殺技は、弟との連携技だけ。





自分だけの技は、なにも完成していない。





なんでそんなこと聞くんだろ。







爆豪勝己
今日の訓練。俺んところ来い
あなた
え?
爆豪勝己
仕方ねぇから付き合ってやる
あなた
あ、うん








仕方ねぇから、って...。





まあ、爆豪くんらしいというか、なんというか。







あなた
ありがとう、ね
爆豪勝己
...








返事がない。





なんでだ。







あなた
爆豪くん?
爆豪勝己
!...うるせぇ見んな








不思議に思った私は、先を歩く爆豪くんの顔を覗き込む。





そんな私に気がついた爆豪くんは、すぐに顔を真反対にそらす。





一瞬見えた顔は、少し赤らんでいるように見えた。





気のせいかな。







轟焦凍
あなた
あなた
あ、焦凍。なに?








教室に入ろうとドアに手をかけた瞬間、弟が後ろから走ってきて、私の肩を叩いた。







轟焦凍
今日の訓練、一緒にやらねえか?
あなた
あ、えっと、今日は...
爆豪勝己
悪ぃな半分野郎。こいつは俺とだ
轟焦凍
爆豪...








爆豪くんが私の言葉を遮るようにして、自分の方に肩を引き寄せた。





弟はムッ、とした表情になり、不満そうにしている。







爆豪勝己
てめぇは大人しく必殺技の練習でもしてろや
轟焦凍
お前は緑谷とやればいいじゃねえか。あなたは俺とやる
爆豪勝己
嫌だね。今日は俺とこいつでやんだよ








なんか、修羅場になってない?







轟焦凍
俺の方が上手く教えられる
爆豪勝己
舐めプがなにいってんだ。めちゃくちゃ不器用なくせによ。教えんのだったらお前より俺の方が上手いわ
轟焦凍
あなたの個性のことなら、俺が一番良く知ってる
爆豪勝己
んなこたぁどうでもいいんだよ!
轟焦凍
なんでだ!大事だろ!








完全に修羅場になったね。





うん。





誰か止めてくれ。

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