教室に向かっている途中。
爆豪くんからそんな言葉が紡がれた。
まあ、確かにそうかもしれないけど。
なんでこんなこと聞くんだろ。
爆豪くんはそれだけ聞くと、何事もなかったかのように歩き進む。
自分から話題ふっといて、なにがしたいんだ。
そのままなにも言わず、歩き続ける爆豪くん。
さっぱりわからん。
必殺技は、弟との連携技だけ。
自分だけの技は、なにも完成していない。
なんでそんなこと聞くんだろ。
仕方ねぇから、って...。
まあ、爆豪くんらしいというか、なんというか。
返事がない。
なんでだ。
不思議に思った私は、先を歩く爆豪くんの顔を覗き込む。
そんな私に気がついた爆豪くんは、すぐに顔を真反対にそらす。
一瞬見えた顔は、少し赤らんでいるように見えた。
気のせいかな。
教室に入ろうとドアに手をかけた瞬間、弟が後ろから走ってきて、私の肩を叩いた。
爆豪くんが私の言葉を遮るようにして、自分の方に肩を引き寄せた。
弟はムッ、とした表情になり、不満そうにしている。
なんか、修羅場になってない?
完全に修羅場になったね。
うん。
誰か止めてくれ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。