第336話

No.334
9,368
2021/01/13 10:02
あなた
寝るんじゃないの
轟焦凍
もうちょっとな







部屋に戻ってきて早々、弟に抱きつかれた。





そして今の状態である。





何回も言うけど、あんたのもうちょっとはもうちょっとじゃないでしょーが。





たまには私じゃなくてお父さんにでも甘えとけや。







あなた
お父さんにやってみなよ、今の
轟焦凍
死んでも絶対やらねぇ







ありゃ、GANGIMARI状態だ。







轟焦凍
クソ親父にこんなことするとか、反吐が出る







私の中のお父さんが泣いてる。





何故だ焦凍ォォォ!!、って叫んでる。







あなた
今の状態、お父さんに見せたらどう思うだろうね
轟焦凍
丁度いい。親父に見せつけてやる
あなた
やめてよ絶対







なんたってお父さんは焦凍Loveだからね。





滝のような涙を流すか、炎で家丸焦げにするよ、絶対。







轟焦凍
あなたは俺んだ。クソ親父なんかに絶対渡さねえ
あなた
身内にそんなこと言っても無駄だと思うんだけど







お父さん戸惑うだけだと思うよ。







あなた
それに、お父さんは...







私のこと、なんとも思ってないと思うよ。





そう言おうとして、思わず口をつぐむ。







轟焦凍
親父のことなんざ気にする必要ねぇだろ。あいつはお前のこと、なんにもわかってねえ。そんなやつ気にしてたって、意味ねぇよ
あなた
...うん






と、







あなた
わっ、ちょっとなに!?







突然、背中に腕が回ったかと思うと、そのまま引っ張られた。





弟は布団に寝転がり、私はその弟に上から抱きついている状態になる。





なにやってんだよ。







轟焦凍
さ、寝るか
あなた
切り替え早すぎか







どこまでもマイペースなやつだ。





てか、離してくれないかな。





この状態じゃ寝れない。







あなた
離れてよ
轟焦凍
やだ。このまま寝る







駄々をこねる小さな子供のように、弟はムスッ、と頬を膨らませる。







あなた
寝づらいんだけど
轟焦凍
...ならこうしよう







私を抱きしめたまま、弟はごろん、と横になる。





仰向けから横向きになればいい、ってことじゃないんだよ。





離せ、って言ってるの。







轟焦凍
...今日は、このままがいい







弟はそう言うと、私の肩に顔を埋める。





そのせいで、弟の表情はよく見えない。





けれど、あたかもなにかを繋ぎ止めようとしているような声に、私はなにも言えなくなった。







あなた
...わかったよ







承諾すると、弟は抱きしめる力を強めてきた。





だから苦しいんだってば。





この握力ゴリラめ。

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